侍ジャパンの稲葉篤紀監督が16日に発表した東京五輪の内定24選手は、「実績重視」のメンバー構成となった。ただ、本調子に程遠い巨人の菅野智之、度重なる故障で34試合出場にとどまっている広島の會澤翼が、発表同日にそろって登録抹消されるなどコンディションに不安が残る。



 今季のパフォーマンスを見ると、選出されなかったことに疑問の声が上がる選手も。代表から漏れた主な選手ではオリックス・宮城大弥、西武・森友哉、阪神・梅野隆太郎の名前が挙がる。

 高卒2年目の宮城は今季6勝1敗、防御率2.31と先発左腕でその安定感はずぬけている。150キロを超える直球、スライダー、チェンジアップと小気味よく投げ込み、制球力も抜群。100キロ台のスローカーブがアクセントになり、緩急自在の投球で打者を手玉に取る。同僚の山本由伸と並び、「今最も攻略が難しい投手」と他球団の評価は高い。

 森は強打の捕手として19年に打率.329で首位打者を獲得。今季も3割を超えるハイアベレージに加え、課題の守備でもインサイドワークで成長が見られる。捕手だけでなく、打力を生かして指名打者で起用する選択肢も考えられたが、侍ジャパンに選出されなかった。

 東京五輪の出場を熱望していた梅野も代表から漏れた。DeNAのアレックス・ラミレス元監督が「セリーグで№1の捕手だと思う」と評価するように、投球を後ろにそらさないブロッキング技術、強肩と正確なスローイングが持ち味の「梅ちゃんバズーカ」で投手を引っ張る。14年には出場試合数が規定に達した選手で唯一の捕逸0をマーク。19年には捕手でNPB歴代最高の123補殺を記録した。勝負強い打撃にも定評があり、代表入りを有力視されていた。

 スポーツ紙デスクは選考についてこう分析する。

「1年半前のプレミア12優勝のメンバーが24人中14人選出されています。森は故障もなかったのにプレミア12を出場辞退した時点で、東京五輪の代表選考で俎上に上がらなかった可能性が高い。宮城は実績重視の選考に泣かされた格好ですね。今季絶好調の中日・柳裕也もそうですが、現在のコンディションで選ぶなら巨人・菅野、中日・大野雄大ではなく、宮城と柳になる。国際試合や大舞台での経験も加味されたのでしょう。驚いたのは梅野ですね。會澤は下半身のコンディションで5月はほぼ1カ月戦線離脱していました。首位快走の原動力になっている梅野が選ばれるのは間違いないと思ったのですが…」
             
 ただ、梅野は追加召集の可能性が残されている。會澤が今月15日の西武戦(マツダ)で三本間の挟殺プレー中に左足を痛めて途中交代。16日に踏力抹消されて3軍でリハビリすることが決まった。患部の完治が長引くようだと、他の捕手を選ばなければいけない。

 今回の代表メンバーを見ると、広島から最多の5人、ロッテからは1人も選ばれなかった。SNSやネット上を見ると東京五輪に対して冷ややかなコメントが目立つ。

「ロッテファンだけど、侍ジャパンに誰も選んでくれなくてむしろ喜んでいる。そもそも6カ国しか出場しない東京五輪で世界一を獲ることに大きな価値を見いだせないし、コロナが収束していない中、政府とIOCのゴリ押しで五輪開催することにも納得いかない。選ばれても使われずにコンディション面で苦労するなら、五輪期間を個々の調整に当てた方がいい」、「梅野は東京五輪に行きたかったかもしれなかったけど、阪神ファンからすれば五輪に派遣して疲労がたまったり、故障するリスクの方が怖い。曾澤のケガで追加召集されるかもしれないので複雑だけど…。ペナントレースの方が大事だし、気持ちを切り替えてチームで頑張ってほしい。侍ジャパンより阪神優勝の方が切なる願いです」

 応援するチームの選手が代表から漏れたことに、落胆している野球ファンの反応は少ない。侍ジャパンに選ばれなくても、宮城、森、梅野らは選手としての価値が下がるわけではない。これからもファンを熱狂させるプレーを見せてほしい。(梅宮昌宗)