ファームに降格した巨人・中田翔が絶好調だ。16日の楽天戦(ジャイアンツ球場)で3回に涌井秀章の高めのフォークをすくい上げて左越え2ランを放つと、5回も内間拓馬の144キロ直球をバックスクリーンの左へ運ぶ2打席連続アーチ。猛打賞の活躍でファーム降格後、5試合出場で18打数11安打、打率.611、4本塁打、13打点と格の違いを見せている。

「状態は確実に良くなっています。中田の良い時は頭が前に突っ込まず、懐が広い形で直球、変化球をはじき返す。日本ハムから無償トレードで移籍してきて、いきなり1軍帯同だったので、慣れない環境に色々戸惑いもあったでしょう。結果が出そうと気持ちがはやってボール球に手を出していましたが、ファームに落ちたことで頭の整理ができたのではないでしょうか。この状態をキープして、早ければ最短の21日の広島戦から昇格する可能性があると思います」(スポーツ紙記者)

 日本ハム在籍時にチームメートへの暴行トラブルが発覚し、8月11日に1軍、2軍すべての試合を対象に無期限の出場停止処分が科せられたが、巨人が救いの手を差し伸べて20日に電撃トレードで移籍。獲得に疑問の声が多く上がる中、中田は必死だった。

 だが、今季は日本ハムで打率.193、4本塁打、13打点。度重なる故障の影響もあり体にキレがない。直球に差し込まれ、変化球にバットが空を切る。なかなか復調の兆しがつかめない中、環境を変えることで覚醒するほど甘くない。移籍後2試合目となった8月22日のDeNA戦(東京ドーム)に移籍後初アーチなる5号2ランを左翼スタンド上段に運んだが、その後の試合では快音が聞かれない。移籍後13試合出場で打率.156、1本塁打、2打点。11日にファーム降格した。

「中田再生」へ、巨人も必死だ。今月3日には、ジャイアンツ球場の室内練習場で長嶋茂雄終身名誉監督が身ぶり手ぶりを交えて打撃指導を行った。 

日本ハムで不動の4番として活躍し、打点王を3度獲得するなど長距離砲としての実績は十分。何かきっかけをつかめば、大きく変わる可能性が高いが、他球団のスコアラーは「2軍で成績を残してもあまり参考にならないですね。1軍みたいに内角をガンガンつくわけではないし、球のキレも違う。しかも、中田がファームで出場した5試合はすべてパリーグの球団との対戦です。セ・リーグの1軍の投手はもっと変化球の配分が多いし、攻め方が変わってくる」と指摘する。 

 スポーツ紙デスクも中田の1軍昇格がチームにプラスアルファをもたらすか疑問を呈する。 

「今は中島宏之が一塁のレギュラーで結果を出している。ウィーラーもいるし、わざわざ中田を上げて使う必要があるでしょうか。代打で勝負するタイプではなく、4打席で結果を出すタイプなのでもう少しファームで鍛え上げてから1軍に上げた方が良いと思います」

 シーズンは残り30試合を切った。阪神、ヤクルトと熾烈な優勝争いを繰り広げる中、ここからは1試合も落とせない戦いが続く。中田は1軍昇格して逆転優勝の救世主になれるだろうか。原監督の起用法が注目される。(梅宮昌宗)