大リーグで日本人初の本塁打王に向けて大接戦を繰り広げている、エンゼルスの大谷翔平。日本人ファンからはもちろん、現地でも他球団のファンから熱い応援を受けるなど、その人気は圧倒的だ。AERA 2021年9月27日号で取り上げた。

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 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平(27)が日本人初の本塁打王に向け、熾烈な争いを繰り広げている。9月10日のアストロズ戦に「2番・投手」で先発出場し、初回に先制の44号右越えソロを放った。投手としては四回途中まで投げて被安打9で6失点。2敗目を喫して6月4日のマリナーズ戦以来続いていた連勝は8で止まったが、打ち取った打球が安打になる不運もあり悲観することはないだろう。

 報道によると、大谷は試合後のオンライン取材でこう話した。

「(本塁打王を)もちろん取りたいなっていう気持ちもありますし、『取りたいな』ってだけで取れるものではない。良い打席を毎日毎日続けていけたらなと思うので。基本に忠実に毎日1打席を大事にしながら打ちたいなと思います。個人的には意識しながらやりたいなと思っているので。その中で1打席1打席、冷静に打てれば、必ずいい結果が残るかなと思います」

 米国駐在のジャーナリストはこう話す。

「普段は数字やタイトルへの思いを語らない大谷が本塁打王への意欲を口にしたことは新鮮でした。8、9月は本塁打のペースが落ちていますが、状態は決して悪くない。相手も本塁打を警戒して外角攻めが増えていますが、甘く入った球はスタンドにきっちり運んでいる」

「ただ、三冠王がかかっているブルージェイズのウラジーミル・ゲレロ(22)、アメリカン・リーグの捕手で史上初の40号を超えたロイヤルズのサルバドール・ペレス(31)は強力なライバルです。タイトル争いは最後までもつれるのでしょう」

■他球団のファンも応援

 ゲレロは13日のレイズ戦で大谷を超える45号をマーク。9月は6本塁打と量産態勢に入っている。ペレスは15日のアスレチックス戦で大谷に並ぶ44号を放った。ただ、野球の本場・米国で日本人初の本塁打王を狙う大谷に対して、現地でアウェーな空気は流れていないという。

「NFL(米プロフットボールリーグ)が9月に開幕し、NBA(米プロバスケットボール)も10月に開幕が迫り盛り上がりが高まる中、二刀流で大活躍している大谷が大リーグで広告塔の役割を果たし、メディアに連日大きく取り上げられています。エンゼルスファンだけでなく、他球団のファンからも『本塁打王を取ってくれ』という応援の声が非常に多い」(前出のジャーナリスト)

 大谷が8月18日のタイガース戦に「1番・投手」で先発出場し、八回に両リーグ最速の40号ソロを放ち、投げては8回1失点、8奪三振でチーム単独トップの8勝目を挙げた際は大きな反響を呼んだ。米放送局CBSスポーツのダニー・ビエッティ記者は自身のツイッターで、こう絶賛した。

「40本塁打。防御率2.82。こんなこと今まで見たことがない」

「ショウヘイ・オオタニが今季これから1試合もプレーできなくなったとしても、私は彼にMVP(最優秀選手)を与える」

 また、大リーグ1年目のオープン戦で打撃不振だった大谷を「高校生並み」と酷評し、その後の活躍で謝罪した米スポーツ専門局ESPNのジェフ・パッサン記者はこうたたえている。

「彼は今、誰もやったことのないことをやっている。前人未到。ベーブ・ルースでさえやっていないことをやっている」

(ライター・牧忠則)

※数字は9月15日現在

※AERA 2021年9月27日号より抜粋