今季はセ・パ両リーグともに激しい優勝争いが繰り広げられているが、ストーブリーグにも興味が移ってくる時期にもなった。今シーズン終了後は複数の目玉FA(フリーエージェント)選手がいるが、最も熱い視線が注がれているのが広島・大瀬良大地と、阪神・梅野隆太郎の2人だ。ともに残留の可能性が高いとも見られているが果たして……。

「(今季は)両リーグともに面白いシーズンです。東京五輪があり、大谷翔平(エンゼルス)も大活躍。NPBの人気も心配されたが、かつてないほどの混戦状態で盛り上がっている。関係者の間では優勝争いの話題で持ちきりのように思われるが、実はそれだけではない。今オフ移籍市場の話題が既に出始め、様々な予想が繰り広げられている。話の中心は大瀬良と梅野です」(在京テレビ局スポーツ担当)

 大瀬良は13年のドラフト1位で九州共立大から広島に入団。1年目の14年に10勝8敗、防御率4.05をマークして新人王を獲得。18年には15勝7敗で最多勝、最高勝率(.682)のタイトルを獲得するなど、球界を代表する右腕となった。また、投手としての能力に加え、真面目で実直な人柄でチーム愛も強く、広島ファンに大人気の選手だ。

「うれしく思います。これまで良い時も悪い時もたくさんの人に支えられた。そのおかげで取得できた。支えてくださった人に、本当に感謝します」(大瀬良)

 4月14日に国内FA権の資格取得条件を満たした際には、笑顔で周囲への感謝を口にした。

「広島は16年からのリーグ3連覇時には黄金時代到来と言われた。しかし、今ではレギュラー陣の年齢が上がり、若手との入れ替えの時期に差し掛かっている。そんな中、昨年まで2年連続でBクラスになってしまったが、大瀬良は黙々と投げている。結果だけでなく存在そのものが欠かせない。球団は必死で引き止めるだろうし本人もチーム愛が強く広島残留が確実視されています」(広島担当記者)

 一方、梅野は13年ドラフト4位で福岡大から阪神に入団し、1年目の14年から92試合に出場。「梅ちゃんバズーカ」と呼ばれる強肩と捕球技術は球界屈指で、18年から3年連続ゴールデングラブ賞を獲得している。チャンスに強い打撃も評価が高く、今や攻守に欠かせない存在だ。

「一番は大きなケガもなく、強い体に生んで育ててくれた親に感謝しています。また、チームメイトや体のケアなど、周りの方々の支えがあったからこそ、この日を迎えられたと思います」(梅野/5月13日)

 FA権獲得時はチームも首位を独走している時期だったが、浮かれることなく謙虚なコメントを残した。

「打てて守れる捕手。阪神の大黒柱であり流出してしまった場合の損失は計り知れない。阪神は多くのFA選手を破格条件で獲得しているが、それに劣らない条件提示をするだろう。捕手出身で重要性を誰より感じている矢野燿大監督が自ら説得に名乗り出るはずで、残留が基本線と見られています」(阪神担当記者)

 広島はローテーション投手の九里亜蓮が同じく国内FA権を獲得している。森下暢仁など若手も育っているが、大瀬良と九里の両投手残留が今後のチーム編成を大きく左右する。梅野もこれまでは併用されるケースも見かけたが今季は正捕手として固定された。センターラインの核ができたことでチームの安定感が高まったのは間違いない。両球団とも、“代えの効かない”選手に対して最大限の誠意を持って交渉に当たるはずだ。

「大瀬良、梅野ともに残留が濃厚です。大瀬良は2度日本シリーズ(16年日本ハム、18年ソフトバンク)で敗れており、広島での日本一にこだわりがある。梅野もドラフト4位から育ててくれた阪神球団に恩義があり、関西地区にも愛着を感じている。2人ともハートでプレーする選手なので余程のことがない限り移籍はない。しかし生まれ育った地元・九州のソフトバンクが誠意を尽くし最高条件を用意すればわからない」(在京テレビ局スポーツ担当)

 ソフトバンクが2人の同時獲得に動いているという情報が流れている。大瀬良は長崎県、梅野は福岡県出身でありいわば『地元球団』である。17年から日本シリーズ4連覇中の強豪だが、今季は故障者が出るなどして投打が噛み合わず苦戦が続いている。

「孫正義オーナーの大号令の元、勝ち続けるのが至上命令。日本シリーズ4連覇中もリーグ優勝は2度で満足できる状況ではない。今季の戦い方を見てもチーム全体の底上げが急務。千賀滉大とともに投手陣の柱となる大瀬良、正捕手・甲斐拓也と併用ができてDHでも起用できる梅野。莫大な資金力をバックに獲得に動くメリットは大きい」(ソフトバンク担当記者)

 昨年は国内FA権を行使しての移籍は梶谷隆幸と井納翔一(ともにDeNAから巨人へ)の2人だけと静かなオフとなった。新型コロナウイルスの収束もかすかに見え始めてきた中、プロ野球界全体がここから巻き返しを図らないといけない。各チームがそろそろ積極的に動き始めそうな気配もある。大瀬良、梅野クラスの選手がFA権を行使すれば、欲しい球団はいくつもあるはずだ。2人ともに大方の予想では残留の可能性が高いと見られているが、資金力豊富なソフトバンクが動くのか。シーズン後の動向に注目したい。