球界を代表するエースとして活躍していた巨人・菅野智之、楽天・田中将大に異変が起きている。

 菅野は6月24日の首位・ヤクルト戦で5回9安打と打ち込まれて今季ワーストの7失点。伏兵の中村悠平にプロ14年目で初の2打席連続アーチを浴びるなどメッタ打ちを食らった。生命線の直球が走らず、変化球も浮くため空振りを取れる球がなかった。ゲーム差を大きく離された首位攻防戦で、エースの乱調が響き16失点の大敗はチームにとってもダメージが残る敗戦だった。

 今季は12試合登板で6勝5敗、防御率3.19。右肘の違和感で4月30日に登録抹消され、5月上旬に復帰後は登板した試合できっちり試合を作っていたが、全盛期のような力でねじ伏せる投球ではない。球数がかさみながらも多彩な変化球をまじえて抑えているのが現状だ。

「4度の登録抹消を繰り返した昨年とあまり状態は変わらないですね。菅野の持ち味である制球が良くない。フォームのメカニズムが狂っているのか原因は分かりませんが、これまで先発ローテーションとして長年投げ続けた勤続疲労は間違いなくあると思います。年齢は32歳とここから円熟期に入るが、肩や肘は消耗している。今の状態で絶対的エースとして期待をかけるのは酷に感じます」(スポーツ紙デスク)

 菅野は入団1年目から先発ローテーションで稼働してきた。2016年から3年連続180イニング以上投げ、18年にはリーグ最多の202イニングを投げている。17、18年と2年連続沢村賞を受賞。コロナ禍で120試合制だった20年も14勝2敗、防御率1.97で3度目の最多勝のタイトルを獲得している。最優秀防御率も4度輝くなど、巨人のエースとして揺るぎない存在だった。

 だが、昨年は故障やコンディションが整わず6勝止まり。直球が130キロ台に落ちるなど明らかに精彩を欠いていた。今年も本来の状態を取り戻していない。マウンド上で威風堂々と振る舞っていたかつての姿はなく、審判の判定にいら立ちを隠せない場面も。菅野の復調なくして逆転優勝は望めないだけに心配だ。

 もう1人、球界を代表するエース右腕・田中将も白星から遠ざかっている。24日の西武戦に先発したが、2本のアーチを被弾するなど6回4失点で今季7敗目。日米通じて自己ワーストタイの6連敗を喫した。今季11本の被本塁打はリーグワースト。6月17日のソフトバンク戦ではNPB自己ワーストとなる4被弾で5回12安打7失点KOを喫した。今季12試合登板で4勝7敗、防御率2.92。今年はパリーグの投手部門で5人の投手が防御率1点台をマークし、「投高打低」が顕著であることを考えると、田中の防御率が良いとも言えない。

 他球団のスコアラーはこう分析する。

「勝負球のスプリット、スライダーが甘く入ってスタンドに被弾される場面が目立つ。ただ、菅野と違って直球は走っていますし、スタミナもあるのでゲームメーク能力は高い。日本球界に復帰した昨年は4勝止まりだったが、投球内容を見れば2ケタ勝ってもおかしくなかった。今年も微調整すれば後半戦は白星を重ねる可能性が十分にある」

 球団史上初の日本一を達成した13年に24勝0敗1セーブ、防御率1.27を達成し、ヤンキースでも6年連続2ケタ勝利と菅野以上にズバ抜けた実績を持つ。こちらも勤続疲労が懸念されるが、直球は力強さを取り戻しており、過度な心配は無用かもしれない。

 オリックス・山本由伸、ロッテ・佐々木朗希と若い力が躍動しているが、球界を長年支えてきた2人も後半戦は意地をみせてほしい。(梅宮昌宗)