楽天・オコエ瑠偉が11月25日、8年目のシーズンへ向けての契約を終えた。

「年俸非公表で取材対応なし」という異例の形となり、「現役ドラフトを見据えた動きでは」という憶測も流れている。

 期待されながも伸び悩み、ここ数年は毎年オフになるとトレードでの放出など様々な噂が飛び交うがチームでの評価は決して低くないという。

「(オコエのことを)石井一久監督は必要戦力と考えているのではないでしょうか。波がある選手なので、現時点では来季もレギュラー起用の可能性は低い。しかし状況に応じて使えば期待できる部分もある。監督のみならずチーム全体が常に可能性を感じている」(楽天関係者)

「石井監督は現実的な面もあるが、常に面白いことをしようと考えている。オコエのような何かやってくれそうな選手は大好き。しかし(来季で)監督就任3年目で結果が求められる中、オコエの年俸には気を使ったはず。高過ぎても安過ぎても問題になるなら、非公表という方法を選んだのではないでしょうか」(楽天担当記者)

 プロ7年目の今季もオコエは苦しんだ。昨年11月に左膝の手術を受け、今季はリハビリからのスタート。8月19日に一軍昇格を果たしたが6試合の出場のみで、9月1日に出場選手登録を抹消され、再昇格はなかった。最終的に25打数5安打、0本塁打、0打点、1盗塁という物足りないものになった。

「今季は試合出場数も少な過ぎて査定以前の問題。金額が高いか低いかは、人によって捉え方が分かれる。昨オフの手術も公傷扱いと考えるかにもよる。それならば当事者同士だけが詳細を知っていれば良い。金額非公表にしたことで、様々な憶測を呼んだのは皮肉とも言える」(在京球団編成担当)

 高校時代は飛び抜けたポテンシャルを発揮、NPBを代表する選手になるはずだった。関東一高から15年のドラフト1位で楽天に入団。「トリプルスリーを目指す」と宣言、高卒1年目から51試合に出場し、翌年も41試合の出場ながら打率3割をマークした。だが、それ以降はプロの壁にぶつかっている……。

「25歳という若さで化ける可能性は残っている。高校時代から身体能力の高さは折り紙付き。時折、想像を超えるようなプレーを見せてくれた。何かのきっかけでブレークするかもしれない。全ては本人次第ですが」(高校時代から知るスポーツライター)

 また、球団としてはオコエのポテンシャルもさることながら“スター性”についても評価しているようだ。2020年オフには石井監督から「考えが甘い」と公の場所で苦言を呈されるなど、グラウンド外のネガティブなことで話題となることも多いが、しっかり結果を残すことでチームの顔になれると期待されている。

「グラウンド外のことには悪気はない。本当に気さくなナイスガイで、言ってみれば子供なのです。話題になるのはプロ選手としては悪いことではない。本業で結果を出せば(グラウンド外での行いが)武勇伝にもなるはずです」(楽天関係者)

「人気選手で個人グッズ売上もトップクラス。年俸1000万円程度なら回収可能なので賭けてみる価値はあると判断しているのでしょう。大化けしたら球界を代表するドル箱選手になれる可能性を秘めている」(高校時代から知るスポーツライター)

 誰もが認める「何年かに1人の逸材」だったのは間違いなく、才能開花を待ち続ける人は多い。注目度の高さがある分、契約を結んでもらえる部分も否定できないが、チームに必要な選手であると評価されている可能性は高い。

 楽天攻撃陣のバランスの悪さもオコエにとっては追い風にもなっている。今シーズン、規定打席に達した野手は6人いるが、右打者は浅村栄斗だけ。今オフに通算154勝の右腕・涌井秀章をトレードで放出し、中日から右打者の阿部寿樹を獲得しているが、まだ右打者の外野手は必要という声もある。また、オコエは二軍ながら打率.327(98打数32安打)、7盗塁としっかり結果を残しているのも大きい。

「(今シーズン)外野で主に試合に出場した島内宏明、辰巳涼介、西川遥輝の3人は全て左打者。阿部は外野も守れるが本職ではない。俊足強肩で守備に定評あるオコエが打てるようになれば、バランス面を考え試合出場機会は増えるはず。長打力もあるので怖い存在になる」(在京球団編成担当)

 プロ入りしてから目立った結果は残せておらず、野球以外の話題ばかりが一人歩きしている。報道されている情報だけを踏まえれば、「楽天での野球人生は詰んだ」と言われてもおかしくない。しかし周囲を取り巻く状況は悲観すべきものばかりでもなさそうだ。

「石井監督が気にかけてくれている今が最後のチャンス。来季、楽天が優勝できなければ監督交代の可能性は高く、そうなった場合にはオコエもどうなるかわからない。毎年のように言われているが本当の正念場」(楽天担当記者)

 2013年、震災復興の象徴にもなった日本一から時間が経過した。石井監督のGM就任後から多額の補強費をつぎこみ巨大戦力となったが、結果にはつながっていない。悲願達成には「チームの雰囲気を好転させるのに必要不可欠」と楽天関係者が語る男の活躍が必要不可欠。賛否両方で注目を集めるのはスター選手の大きな資質であり、あとは野球で結果を出すだけ。オコエは来季も楽天でプレーしているのか。9日に実施される現役ドラフトで動きがあるかにも注目したい。