巨人が3年ぶりのV奪回へ、カギを握るのが助っ人選手たちの活躍だろう。昨季は支配下の外国人選手が9人在籍したが、今年も残留したのはアダム・ウォーカーのみ。大幅な入れ替えを敢行し、新外国人の5選手が加入した。

 その中でセンターのレギュラーとして期待されるのが、前ジャイアンツのルイス・ブリンソンだ。身長196センチ、体重96キロの巨体でパンチ力に定評があり、通算28本塁打をマーク。スピードも併せ持ち、アグレッシブなプレースタイルだ。確実性が課題でメジャーではレギュラーをつかめなかったが、日本で素質を開花させる可能性は十分にある。

 野手の陣容を見ると、豪華な顔ぶれが並ぶ。捕手は侍ジャパンに選出された大城卓三、一塁は打撃フォーム改造で復活した中田翔、二塁は球界屈指の野球センスを持つ吉川尚輝、三塁は今年から新主将に就任した岡本和真、遊撃は坂本勇人が復活を期す。今年は侍ジャパンの出場を辞退し、コンディションを整えてシーズンに臨む。外野は左翼にウォーカー、中堅にブリンソン、右翼に丸佳浩。他球団のスコアラーは「オールスターみたいな陣容ですよ。投手からしたら下位打線も気が抜けません」と苦笑いを浮かべる。ただ、こうも語る。

「巨大戦力なので仕方ないのですが、巨人は将来が楽しみな若手の成長株が多い。彼らを1軍で起用するポジションがないのはもったいないなとは感じます。増田陸は1年間スタメンで使えば、打率.280、15本塁打は打ちますよ。秋広優人もファームはそろそろ卒業で、1軍で見たい選手です。坂本勇人が故障で戦線離脱した際に、遊撃で存在感を示した中山礼都も攻守でセンスが光る選手です。守備力で言えば、若い時の坂本よりうまい。実戦経験を積むと言っても、ファームと1軍ではレベルが全然違う。伸び盛りの彼らは1軍の試合に出ることで加速度的に成長する。ヤクルトの長岡秀樹、オリックスの紅林弘太郎が好例ですよね」

 長岡は1年目が6試合、2年目が5試合出場にとどまったが、3年目の昨季は遊撃手の定位置をつかみ、139試合出場で打率.241、9本塁打、48打点をマーク。ゴールデングラブ賞を獲得し、リーグ連覇に大きく貢献した。打撃不振の時期もあったが、高津臣吾監督はスタメンから外さなかった。不動の4番・村上宗隆と共にヤクルトの将来を背負っていく選手と期待し、ミスをしても起用し続ける覚悟を決めたのだろう。昨季26年ぶりの日本一に輝いた中嶋聡監督も、紅林弘太郎を一本立ちさせようという気概が伝わってくる。2021、22年と2年連続リーグ最多失策を記録したが、肩の強さと広い守備範囲はスケールの大きさを感じさせる。打撃でも確実性に課題を残すが、試合に出続けなければ壁は乗り越えられない。

 スポーツ紙デスクは、「レギュラーは競争の中でつかまなければいけないのが原則ですが、将来の軸になる選手は多少のミスに目をつむって起用し続けないと育たない。巨人は主力選手の高齢化が進む中、どのタイミングで若返りを図るか。才能豊かな若手は起用するタイミングを逃すと、伸びしろが失われてしまう」と指摘する。

 春季キャンプのメンバーが振り分けられ、野手陣は秋広と増田陸、ドラフト2位の萩尾匡也、ドラフト4位の門脇誠が1軍スタートに。中山は2軍スタートとなった。1軍に生き残る道は険しいが、実戦で結果を残し続けるしかない。レギュラー争いで「下克上」が起こり、チーム内の競争が活性化されるか。(今川秀悟)