2月7日からアメリカ・コロラドスプリングスで行われる四大陸選手権に、村元哉中&高橋大輔は昨季同大会の銀メダリストとして臨む。

 昨季の全日本選手権ではリズムダンスでの転倒が響き2位となった村元&高橋は、北京五輪代表には選ばれなかったものの、四大陸選手権(2022年1月、エストニア・タリン)と世界選手権の代表に選ばれた。急成長を遂げている二人にかかる期待が感じられる選出に、日本の最高成績である四大陸2位という結果で十二分に応えたといえる。

 昨季の四大陸は北京五輪を直後に控えたタイミングで行われたため、出場したカップルの中に北京五輪代表はいなかった。しかし今季の四大陸には、グランプリファイナル2位のマディソン・チョック&エバン・ベイツ(アメリカ)をはじめとする世界トップクラスのカップルがエントリーしている。

 だが村元・高橋は今季、既にトップチームと同じ氷上で滑る経験をしている。昨年11月のNHK杯(札幌)でリズムダンス5位につけた二人は、フリーダンスを後半グループで滑ることになった。後半グループにはチョック&ベイツに加え、グランプリファイナル6位のロランス・フルニエ・ボードリー&ニコライ・サアアンスン(カナダ)、昨季の四大陸選手権金メダリストであるキャロライン・グリーン&マイケル・パーソンズ(アメリカ)もいた。そして、この3組は今季の四大陸にも出場する。

 NHK杯で総合6位となった村元&高橋は、フリー後のミックスゾーンで、後半グループに入って滑った感想を尋ねられている。村元が「やっぱり皆さん表彰台争いだったので、容赦なくというか」と口にするのに続けて、高橋も「朝の公式練習から、結構皆ぶつかりそうになることが多くて」と語っている。

「昨日(のリズムダンス)とはうってかわって、違う雰囲気の公式練習と5分間練習でした。5分間練習も、結構バチバチで」(高橋)

「本当に皆アグレッシブにやっている感じはしたので、勉強になりました」ともコメントした村元は、しかし怖気づくことなく自信を持って臨んだことも明かしている。

「でも本当に、氷に乗った瞬間からは自分達に集中するのが一番なので。トップチームの雰囲気や、エネルギーを感じることはできた。自分達にも、そのエネルギーはあるなと思います」(村元)

 村元らしい凜としたコメントに続き、高橋もアイスダンサーとしての矜持をのぞかせた。

「先シーズンだったら多分びびってよけまくっていたんですけれども、今シーズンは特に物怖じするということは、自分の中でもなくて。本当に『危ないな』と思ったらよけますけれども、ギリギリまでよけない、ということはできるようになったかなと思います」

 競技者として取り組む前から熱心にアイスダンスを観てきた高橋は、アイスダンサーに対し深い敬意を持っている。だからこそ、昨季までは他チームへの遠慮があったのかもしれない。だが、真摯にアイスダンスに取り組んだ結果としてチャンピオンシップのメダルも得て臨む今季は、競技者としての自信が遠慮を上回ったのだろう。

 そして今季後半のチャンピオンシップに、二人は全日本選手権優勝者として臨む。この四大陸は二人にとり、トップチームとの真剣勝負を体験する貴重な機会となる。壁は高いかもしれないが、だからこそ挑戦の意義は大きい。“かなだい”ならではのエネルギーを四大陸で発揮することができれば、世界選手権でのトップ10入りという目標に近づくはずだ。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」