今月8日に開幕したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。侍ジャパンの活躍が連日テレビなどを中心に報道されているが、大谷翔平(エンゼルス)の注目度は群を抜いている。

 2017年の前回大会(第4回)は怪我で出場を辞退し、WBCの出場は今回が初めてとなる。ここまで初戦の中国戦と準々決勝のイタリア戦に“二刀流”として出場するなど、投打の中心選手としてチームの準決勝進出に大きく貢献。メジャーで2021年シーズンにア・リーグのMVPに選ばれた男のプレーに日本中が熱い声援を送っている。

 また、今回の大会ではプレーだけではなく、チームの精神的な支柱としてベンチでの振舞いも高く評価されている。年齢も今年で29歳となり、プレーとともに今や誰もが頼れるリーダーというイメージも生まれ始め、今回のWBCでさらに国民的な“スター度”が増した感じがある。

「全米中で注目されているスーパースター。ベーブ・ルースと比較されるのも決して大袈裟ではないレベルの選手になった。選手としての実績はもちろん、人懐っこい性格が周囲を魅了する。取材でも明るく誠実に答えてくれる。スポーツ界トップクラスの高給取りだが、偉そうな態度を取らない。他球団ファンさえも虜にしてしまう魅力がある」(在米スポーツライター)

「飛び抜けた実績がある選手の場合、チームメイトと壁ができてしまうこともある。イチローが一時期、マリナーズで浮いていたこともあった。しかし大谷は自ら他の選手や、スタッフに歩み寄って話しかける。時にはジョークを言い合い、いじられ役にもなることができるため周囲に笑顔が絶えない。コミュニケーション能力が高いので自然とチームの中心人物になれている」(侍ジャパン関係者)

 日本ハム時代にチームメイトだった近藤健介(ソフトバンク)が「相変わらず普通の生意気なガキですね」と発言したことが話題となったが、これも愛情表現の一つ。メジャーの大物になってもいつまでも変わらない姿こそが大谷の魅力だ。

「鎌ヶ谷(日本ハム二軍合宿所)に住んでいた頃から何も変わらない。帰国早々、当時のスタッフに挨拶していましたから。年上の人に対しても自然と近寄って懐に入れる男。打算や嫌味が感じられないから、みんなが可愛がる。メジャーでの活躍を誰もが応援しており、結果が出た時には必ず話題になるほど」(日本ハム関係者)

 そんな“愛され度”抜群の大谷は企業にも引っ張りだこ。WBCではテレビやインターネットの中継を問わず、試合のイニング間に流れるCMでも大谷が画面を“ジャック”し、中継中はずっと大谷が出ているような状態だ。

「近年はどの企業もコンプライアンスに厳しくなった。またコロナ禍があり経営状態が厳しい中で、広告に起用する人材に関してはかなり神経質になっている。スポーツ選手のスキャンダルも多発している中、大谷に関してはグラウンド内外で模範的な姿勢を常に維持している。CMに困った時には大谷の名前が必ず上がる」(大手広告代理店関係者)

「各業界から引っ張りだこの状態。CMだけでも航空、金融、アパレル、飲料、化粧品など、多岐にわたり10社ほどのクライアントと契約していると見られる。広告料は1社2億円前後と言われ、総額20億円を超えるはず。大谷の活躍度と知名度を考えれば、多少の広告費がかかっても反響は計り知れない。今後もどんどん増えるはずです」(スポーツマネージメント会社関係者)

「話題になったのがニューバランス社との用具契約。これまでグラブ、スパイクはダルビッシュ有(パドレス)も使用するアシックス社製。同社は野球選手サポートにかなりの力を入れている。それでも契約を変えたのは、品質が良かったのもあるが契約金が桁違いに支払われたこともあるだろう」(スポーツメーカー関係者)

 今回のWBCで日本を代表して戦ったことで、国民的な人気はさらに上がった。昭和を代表するスター選手の長嶋茂雄氏、平成を代表するイチロー氏などとは時代が違うが、歴代のスターと比べても“別格”な存在になったのは間違いないだろう。

「娯楽が多く、情報が氾濫している現在だからこそ生まれたスターかもしれない。バーチャルやメタバースなどの世界に慣れ親しんでいる人たちにとって、リアルの世界で信じられない活躍をする大谷が新鮮に映るのではないか。漫画の世界でもあり得ないような二刀流で結果を出すのだから人気も出る。バットマンやスパイダーマンが現実に現れ野球をやっている感じ」(在米スポーツライター)

 明日21日(日本時間)に行われる準決勝、そして勝ち上がった場合は登板も噂される決勝でのプレーにも注目が集まる大谷。仮に期待通りに侍ジャパンが優勝するようなことがあれば、大谷はさらに国民的人気を不動のものにするだろう。ここ最近はコロナ禍など暗いニュースが多かったが、そんな中で明るい話題を提供し続けてくれた大谷に多くの国民が感謝している。