「Ice Brave」に見た宇野昌磨の現在 名プログラムの再演と新たな挑戦「もっともっと成長できる」

AERA DIGITAL6/16(月)18:00

宇野昌磨の今しか見られない姿がそこにある(写真:松尾/アフロスポーツ)

「Ice Brave」のオープニングナンバー『Great Spirit』に乗り、リンクに猛スピードで滑り出てきた金髪の宇野昌磨は、エネルギーの塊のようだった。

 6月14日、宇野が初めてプロデュースするアイスショー「Ice Brave」が、愛知(愛・地球博記念公園(モリコロパーク)アイススケート場)で幕を開けた。宇野、現役時代のコーチであるステファン・ランビエール、そして宇野が「一緒に同じ方向に走ってくれそう」と選んだ仲間(本田真凜、本郷理華、中野耀司、唐川常人、櫛田一樹)の総勢7人で、約90分のショーを滑り切る。

「Ice Brave」で演じるプログラムの大部分は宇野が現役時代に滑ったもので、ファンにとっては当時の思い出がよみがえる曲ばかりだ。例えば『Great Spirit』は、コーチ不在で迎えて絶不調を経験し、ランビエールコーチへの師事をきっかけに復調した2019-20シーズンに滑ったショートプログラムである。また、自らの表現に厳しい宇野にしては珍しく「結構気に入っていた」ため、「あの時のものは出せない」という思いから、アイスショーでは滑ってこなかった2016-17シーズンのフリープログラム『ブエノスアイレス午前零時−ロコへのバラード』も、満を持して披露した。

 そして、今公演で滑る新プログラムは2曲。3月19日に行われた今公演開催を発表する記者会見で、宇野は「その2曲は、本当に二つとも新しい挑戦」と語っていた。

「難しい挑戦ではあるのですが、新たな挑戦はハードルが高いほどやりがいもあります。それを成し遂げた時には皆さんもあっと驚くようなものが見せられるかなと思うので、是非楽しみにしていただけたらと思っております」

 いよいよお披露目の時を迎えた新プログラムの1曲目は、 メンズ4人(宇野・中野・唐川・櫛田)が滑る、クールな「Narco」。ダンサーが振付を手がけており、宇野が「今までやってこなかった」というダンスに挑んだ成果をみせるプログラムだ。メンバー同士の信頼関係がみえる一体感と力強さが魅力的なナンバーで、会場のボルテージは急上昇した。

 そしてもう一つの新プログラムである美しいピアノ曲「Wild Side」では、宇野と本田真凜がアイスダンスを披露。競技プログラムさながらの完成度で、観る者を驚かせた。息の合ったツイズルやリフトを目の当たりにして、いつもは冷静を心がける記者席からも感嘆の声が漏れた。

 宇野によれば、去年の10月頃からスケート靴のエッジをアイスダンスのものに変え、練習を積んできたという。

「やってみて分かったんですけど、シングルとアイスダンスでは本当に勝手が違っていて。自分が培ってきたスキルを1割・2割程度しか引き継ぐことができなくて、本当にいろいろなことが難しかった。ただコラボナンバーとしてではなくて、初めてアイスショーをプロデュースするということで、いろいろな新しい挑戦をしたくて。しかも“やってみた”だけではなくて、ちゃんとプログラムとして成立するものをやってみたかった」

「『もっともっと成長できるな』という自信もある一方で、『よく頑張ったな』と思いますし、皆さんの拍手がすごく嬉しかったです、素直に。今日までやってきた練習を、すごく褒められたような気持ちになって」

 観客の反応に力を得たという宇野は、「もっと素晴らしいものを、2人で、このアイスショーで作れたらいいなと思います」と清々しい表情で口にした。

 宇野のアマチュア時代の歩みと、プロとしての挑戦が融合した「Ice Brave」。今しか見られない宇野昌磨の姿が、そこにはあった。(文中敬称略)

(文・沢田聡子)

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