世界で一番登録者数の多いゲーム系YouTuber「PewDiePie」が日本に移住したことを公表しました。PewDiePieはスウェーデン出身でチャンネル登録者数は1億人以上です。移住の理由は、彼自身が日本を好きであることが挙げられていますが、「プライバシーを重視したかったからでは」という臆測もあります。

 彼は海外で非常に有名であり、普通に街を歩くことも困難なほどです。一方、日本では彼を見かけても気づかない人も多いでしょう。何度か来日して滞在した際に、快適に過ごせたのかもしれません。実は、海外で成功したYouTuberや有名人が来日して、日本への移住を検討する事例は他にもあります。私の知っている海外で成功したYouTuberも、パパラッチに追われることやファンや視聴者の対応、家族や子供のことを考えると、安全に日常生活を送れる場所の候補として「日本を拠点にしたい」と語っていました。顔出しYouTuberには代償としてプライバシーの問題があります。

 海外だけでなく国内でも同様の問題があります。カップルYouTuberで、破局を隠して炎上した「おたひかチャンネル」のメンバーも、住所が特定されたり、見知らぬ人に背中を押されたりと、被害について動画で語りました。背中を押した人物が視聴者であったかどうかは定かではありませんが(特に女性は、街中で通行時に見知らぬ男性に故意にぶつかられる事例があります)十分に身の危険を感じる事案です。

 アイドルや芸能人もSNSの写真や動画などに写っていた背景などから自宅や住所を特定され、ファンが押しかけてきたり、ストーカーの被害に遭ったりすることがあります。YouTuberも同様で、はじめしゃちょーさんも自宅に小学生が訪れたことを公開していました。純粋にファンである場合もありますが、なかは悪意を持っている人もおり、度がすぎた行為をする場合は警察に相談することも少なくありません。

「有名税」と言われると仕方のない部分もあるかもしれませんが、日常で感じる恐怖は想定以上になります。とくに個人で運営している場合、自分が有名になっていることを自覚していない人も少なくないため、戸惑いも大きいのだと思います。外出時には周囲に視聴者がいる可能性があるので、イメージを崩さないような言動が求められますし、会話においても言葉や話題を選ばなければなりません。また、交友関係にも気をつけることは多く、トラブルを避けるためにお酒を飲む場所を避けることもあります。なかには、有名になりすぎたために、公共の交通機関を利用することも難しくなったYouTuberもいます。このように、さまざまな制約や身の危険があるために普通の生活ができなくなり、海外に移住したいと考えるYouTuberは増えていると思います。冒頭のPewDiePieも、視聴者の多い国では通常の生活が送れないために、日本への移住を決意したのかもしれません。

 もともと素人だった一般人が、急に有名になってしまうのがYouTubeの世界です。芸能人やスポーツ選手と異なり、オーディションや事務所などもなくスタートした人々です。世の中からは「ぽっと出だ」と認識されやすいのも事実です。そんな彼らが炎上した際、その攻撃は想定をはるかに超えるもので、誹謗中傷だけでなく殺害予告やストーカーなどの犯罪行為に遭う人も少なくありません。成功した人に対する嫉妬が原動力になることもあるため、できるだけ嫉妬されないように気をつかう場面も多くなります。海外でも日本でも、どの国でも有名になると似たような問題が発生します。

 YouTuberは、矢面に立たされやすい、目立ちやすい故に攻撃されやすい職種であると言えます。そして、タレントやスポーツ選手と異なり、活動場所にあまり制限がない職業でもあります。今後もYouTuberの海外移住は増え続けるかもしれません。

■なーちゃん/1989年生まれ。二児のママ兼YouTuber。2014年にチャンネルを開設。長男のこうちゃんと出演する動画は子どもから親まで幅広い層から人気を集め、”ファミリー系YouTuber”としてカリスマ的存在に。