北極海に突如出現 シロイルカはロシアのスパイ?

北極海に突如出現 シロイルカはロシアのスパイ?

 愛らしいしぐさを見せながら撮影者のボートに近づくシロイルカ。餌をせがむように大きく口を開けている。ただ、何やら様子がおかしい。

 英BBCや米CNNによると、胴体にハーネスをつけてカメラホルダーを装着。ハーネスの金具部分には、ロシアの都市「サンクトペテルブルク」を表す文字が刻印されていた。先月末にノルウェー沖の北極海で操業していた漁船が見つけた。

 映像を見たノルウェーの専門家は、約400キロ離れたロシア北部の軍港ムルマンスクからやって来たと推測する。ロシアは海軍基地の警備やダイバー支援、紛失物の捜索などの目的でシロイルカを訓練していたことがわかっているという。

 ロシア情勢に詳しい、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんが説明する。

「ロシアがイルカを軍用にトレーニングして活用しているという事実は周辺諸国に指摘されています。今回、北極海沖で軍用イルカが発見されたことは地政学的に重要な意味を持ちます」

 佐藤さんによると、過去にロシア国防省が1千万ドル(約11億円)で5歳以下のイルカの購入を募ったり、ロシアの通信社がイルカを使って海底の機雷を探す訓練を行っていること(ロシア軍は否定)を報じたりしているという。

「ロシアによるノルウェーやスウェーデンへのスパイ活動のひとつがこの軍用イルカの利用なのでしょう。実際にスウェーデン、旧ソ連のラトビアに面するバルト海にもイルカ部隊が展開していることを、ラトビアは情報としてつかんでいました」

 つまりロシアは、西側寄りの国々が密集する海域に「スパイイルカ」を配備しているのだ。

「ロシアは依然としてイルカの存在を国家機密としています。愛らしいイルカの姿とは裏腹に、海面下ではロシアによる壮絶なエスピオナージ(スパイ活動)が展開され、緊張が高まっているのです」

 一方、米海軍も冷戦時代から、イルカやアシカを軍用目的で訓練している。2003年のイラク戦争では、機雷を見つけるために軍用イルカを「動員」したという。

 ちなみに今回見つかったシロイルカは、漁業関係者によってハーネスを外され、解放された。(本誌・羽富宏文)

※週刊朝日オンライン限定記事


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