いよいよ放送がスタートする大河ドラマ『どうする家康』。誰もが知る歴史上の偉人・徳川家康の生涯を、『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの脚本家・古沢良太が新たな視点で描く。家康を演じるのは、松本潤。大河ドラマ初出演にして主演という大役を務める。そんな松本がクランクインから半年が経過した心境を語った。
「どうする家康」という作品タイトルから分かる通り、生きていくための“選択”を迫られる物語だ。松本は「これまで経験した連続ドラマだと、1クールで長くても3〜4か月の撮影ですが、大河はすでに半年以上撮影しているのに、まだオンエアが始まっていないというのが、不思議ですね」と感想を述べると「都度『どうする?』と突きつけられるので、前半は常に悩んで翻弄される家康が描かれる。唯一家臣団や(家康の正室となる有村架純演じる)瀬名といるときだけが、対照的に穏やかな空気のなかで撮影される時間なので。それが日々の楽しみですね」と語る。
脚本を担当するのはヒットメーカーの古沢良太。「これまでとは違った家康像」という触れ込みがあるが「この話をいただく前の家康像というのは、タヌキおやじというか、恰幅のいいイメージ。津川雅彦さんや西田敏行さんなどベテランの俳優さんが演じられていた印象が強かった」と述べると「古沢さんは、強国に挟まれた三河で毎日生きるか死ぬかの日々を過ごしながら、選択していく家康像を描いている。か弱きプリンスという役柄紹介そのもの。博打ではないですが、別の道を選んだら死んでしまうかもしれないというなかで生き残る方を選択していく人物だなと思って読んでいました」と家康像を解釈しているという。
古沢脚本の魅力については「読んでいるより演じている方が面白い」と述べると「ドキッとさせられるような、なにかひっくり返されるような、見ていてゾクッとするような……感情が動く仕掛けが随所にあってすごく面白い」と感想を語っていた。
そんな松本だが、オファーを受けたときのことをこう振り返る。「大河ドラマにも出演したことがなかったので、主演と聞いて『何で自分なんだろう』とびっくりしました。まだ嵐の活動中だったので、時期的なことを含めて、この重大な決断を短い時間で決めるのは難しいとお話をしてそのときはお断りさせていただいたんです。でも年明けまで返事を待っていただけて、年が越したあと、改めて自分にはどんな挑戦ができるのか……と考えたとき『やってみたい』と思ったのでお受けしました」と経緯を説明する。
家康は今川義元や、織田信長の影響を受けている。「義元公の元には人質として行くのですが、すごく可愛がられたように描かれていて、桶狭間の戦いで義元公が亡くなったあとも、教えていただいたことを思い出すような描写がある。三河の当主でありながら、ある意味で楽しくやっていた印象があります。一方の信長については、今川を裏切り同盟を結ぶのですが、信長は自分が考えないようなことをする人物。恐怖と尊敬があり、ずっと目の上のたんこぶで頭が上がらない人なんですよね」。
そんな信長を演じるのが同じ事務所の岡田准一だ。松本は「怖いっすよ」と笑うと「V6の時代にジャニーズJr. としてバックで踊らせていただいた直属の後輩なので、尊敬する先輩であると同時に、ある意味、家康と信長の関係性のように、一生頭が上がらない存在でもあります。そんな方に、僕が家康をやるとき、信長を演じてもらえるなんて、とても光栄です。岡田君は『軍師官兵衛』で大河ドラマを経験されているので、芝居の空間をどうやって動かしたら面白くなるのか考えて動いてくれるので、役柄同様に引っ張っていただいています」と絶大の信頼を寄せる。
初の大河ドラマ。経験することすべてが初めてで、「大河ドラマだからなのか、この作品だからかなのかは判断できない」という。
そんななか、家康の家臣団となる面々とは現場で楽しくコミュニケーションが取れているという。大森南朋や松重豊、山田裕貴、杉野遥亮、松山ケンイチ、山田孝之、イッセー尾形ら個性派ぞろいだ。「愛知県でクランクインをしたのですが、泊まりで少し時間がある時は、行ける人で一緒にご飯にいったりして、あっという間に台本上に書かれているような関係性は築けたと思います。みんな個性がバラバラなのですが、芝居をするために集まっているという共通認識があるのでいろいろ意見を言いやすい。イッセー尾形さんをはじめ松重豊さんら先輩方が、年齢関係なく言いたいことを言い合える空気を作ってくださったおかげだと思います」。
また前年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で主演を務めた友人である小栗旬からはいろいろなことを教えてもらっているという。「いつインしてどんな進捗具合かとか、ちょうど1年前に小栗君が経験しているので、情報共有をしてもらえるという意味ではありがたいし、とても面白いです」と語っていた。
約1年半に渡る長丁場となる大河ドラマの撮影。松本は「まったく自分の時間がないわけではないですよ」とある程度ペースは掴んでいるという。「映画を観に行ったりもしています。(岡田が主演の)『ヘルドッグス』も観ました。信長殿、強かったです(笑)。舞台にも行ったりして。あとはストレス解消ではないのですが、愛知や静岡など家康ゆかりの地を回ったりすると、体のなかに何かがたまっていく感じがあるんです」と良い効果になっていることを明かす。
家康と言えば健康オタクだったことでも知られている。松本は「やっぱり長丁場なので、食べ物や飲み物にはこだわっています。ご飯を炊いたり、スープとかも作ったりしています。あとはしっかりと体を動かすことは心がけています。僕も長生きしたいですからね」としっかり乗り切るだけに準備をしているという。
どうする家康 初回放送日
1月8日(日)午後8時〜(NHK総合)、午後6時〜(BSプレミアム・BS4K)