スウェーデン ヘラジカの生中継番組が人気=綿貫朋子
 スウェーデンの公共放送「スウェーデンテレビ・SVT」が制作した「ヘラジカの大移動」という番組が話題だ。野生のヘラジカが牧草を求めて沿岸部から内陸へ移動する様子を24時間約3週間にわたって生中継する内容で、約2500万回視聴された。新型コロナウイルス禍で自宅にいる人が増えた影響もあるとみられる。

「ヘラジカの大移動」のように、あるがままをナレーションなしに実時間で映す番組形式は、「スローテレビ」と呼ばれ、もともと隣国ノルウェーで人気を博していた。同番組はスウェーデン版として2019年に始まり、3回目の今年の放送で過去最高の視聴回数を記録し、大きな話題を呼んだ。ヘラジカが雪解け後の川をゆったりと泳いで渡る姿に癒やされる人は多い。

 SVTのニュースでは、「ヘラジカの大移動」を授業中に流す小学校の事例が紹介された。生徒の息抜きや集中力回復に役立つという。

 ただし、「スローテレビ」の舞台裏はスローとは言えないようで、10人のスタッフが昼夜交代で29台の遠隔操作カメラを駆使するという。野生動物の生態を妨害しないよう入念な準備も必要とのことだが、スローテレビの人気はしばらく続きそうだ。

(綿貫朋子・スウェーデン在住著述家)