大田佳宏 Arithmer(アリスマー)代表取締役社長兼CEO 高度数学のAIで課題解決
 高度数学を使えば、複雑な現実の問題を解くことができる──。その思いが今、形となって、世の中のさまざまな場面で採用が広がっている。

(聞き手=中園敦二・編集部)


 防災関連でいえば、ドローンに搭載したレーダーで計測したデータを基にAIで三次元地図を作成します。地図画面上で石ころ一つをクリックするだけで緯度・経度・高度・材質が全部出てくる精度です。豪雨による浸水シミュレーションは水の流れをセンチ単位で予測して浸水被害を算出できます。通常なら膨大な画像処理で数カ月かかるところを数時間ででき、いち早く避難することも可能です。実際、浸水シミュレーションは災害後の保険金支払いに役立つとして、損害保険大手に採用されました。

 我々の独自のアルゴリズム(計算方法)だからできることです。津波が来たら何センチ浸水するか、地震があれば地震の規模(マグニチュード)によってどのような被害になるかというシミュレーションも迅速に実行できます。

 なぜ、そんなに速くできるのか。数学で課題を解くときに二つの方法があります。一つは課題に対して、「定式化」したアルゴリズムを適用することですが、ただ、それを使っても1〜2割しか時短になりません。そこで、もう一つの方法として、我々は「定式化」自体を自分たちで作り直すことで、7〜8割速く最適解を求められるようになりました。

 こうしたAIによって、写真を4枚ほど撮影すれば、来店しなくても顧客の体型にあったオーダースーツを作れるスマホアプリを紳士服大手と開発し、女性向けアパレルメーカーの採寸アプリもできました。また、物流倉庫や船底での荷物の積み込み方も最適化できます。