国内女子プロゴルフ「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」の初日が終了。ベテランの上田桃子(うえだ・ももこ)と地元出身の佐久間朱莉(さくま・しゅり)が首位でスタートを切った。

阿部未悠は出だし5連続バーディーのロケット発信

◆国内女子プロゴルフ<富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 初日(5日) 石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県) 6535ヤード・パー72>

 国内女子プロゴルフ「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」の初日はベテランの上田桃子と地元出身の佐久間朱莉が首位スタート。5連続バーディーを記録した阿部未悠が5位タイにつけている。

5位タイで発進した阿部未悠 ※画像は4日 写真:Getty Images
5位タイで発進した阿部未悠 ※画像は4日 写真:Getty Images

「桜の花びらがボールについていて綺麗だけどスピンが(かかるか)どうかなと思った」。阿部が5連続バーディーのロケットスタートのきっかけとなった1番の第4打を振り返った。

 ピン右奥から「6〜7ヤード」のチップインバーディー。58度のウェッジを持った阿部の頭には、ゴルフだけでなく季節がくっきりと描かれていた。

 阿部の趣味が写真であることはツアー関係者の間では知られている。北海道出身でオフには「フクロウを探しに行ってシマエナガを見かけたけど逃げちゃいました。でもオジロワシやオオワシにも会えた」と様々な瞬間を切り取っている。

 ゴルフ場という自然の中で“本業”のゴルフをしている時も、1打に集中しているとき以外は様々な光景を目に焼き付けている。「先週(ヤマハレディースオープン葛城)は、カモシカがいると思ったのに会えなかった。去年はいたのに。(試合中も)取りたいと思う瞬間はいっぱいあります」と楽しそうに話す。

 この日は、6バーディー、3ボギーの3アンダー5位タイで終えたが、首位の佐久間、上田とは2打差。十分に初優勝が狙える位置にいる。

 今季はまだトップ10入りはないが「久々にいいゴルフができた」と自信をのぞかせた阿部。実は「趣味ですが、自分の中で大事にしている時間」という写真のために、欲しいものがある。「大きい単焦点レンズ。値段を見てブラウザを閉じちゃったくらい高い」というが、今大会の優勝賞金は1800万円。勝って欲しいものを手に入れるのは、プロゴルファーならではの醍醐味に違いない。写真関連企業の大会で勝てれば、そのインパクトはより強い。

21歳・佐久間朱莉が地の利を生かし首位発進

 ツアー16勝の上田桃子と並んで首位に立ったのは、阿部同様に初優勝を狙う21歳の佐久間。埼玉県川越市出身で、自宅から“通勤”する石坂GCは「中学生の頃いつも練習させていただいていた」なじみのコース。「私はショットメーカーだと思うんですけど、ここで狭いスポット狙って打っていたことが、プロになって生きてる」と、当時の練習が今につながっていることを明かした。

 1月には指導を受ける尾崎将司の誕生会で尾崎3兄弟の薫陶(くんとう)を受けた。「主に健夫さんから『お前は勝ちにこだわれ。ゴルフがうまくても勝てないんだぞ』と。ジャンボさんはうなずいていました」と、強烈すぎるエールに背中を押されている。

 1打差で脇元華、穴井詩が追走し、さらに1打遅れて阿部、鈴木愛、イ・ミニョン、吉本ひかる、森田遥がいる。

阿部 未悠(あべ・みゆう)

2000年9月27日生まれ、北海道出身。父の影響で10歳からゴルフを始め、2021年にプロテスト合格。昨年5月に行われた「リゾートトラスト レディス」ではホールインワンを達成。今年の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」では通算8アンダーで2位タイにつけた。ミネベアミツミ所属。

佐久間 朱莉(さくま・しゅり)

2002年12月11日生まれ、埼玉県出身。アマチュア時代はナショナルチームで活躍。コロナ禍で延期となっていた2020年度のプロテストにトップ合格。22年シーズンはメルセデス・ランキング33位、昨季は25位に入り2年連続でシードを獲得した。大東建託所属。

小川淳子(ゴルフジャーナリスト)