2003年度生まれ「ダイヤモンド世代」の竹田麗央(たけだ・りお)が「KKT杯バンテリンレディス」で初優勝を挙げた。今回の優勝で「ダイヤモンド世代」の通算勝利数は10勝に到達。実はこの記録、最強世代といわれる「黄金世代」よりも早く、近年では最速だった。

宮里藍・横峯さくら世代は圧倒的早さで10勝到達していた

 ダイヤモンド世代が黄金世代を超えた! 女子ツアーの「KKT杯バンテリンレディス」でダイヤモンド世代と呼ばれる2003年度生まれの竹田麗央が初優勝。これが同世代の通算10勝目で、圧倒的な層の厚さを誇る黄金世代よりも早い2ケタ勝利到達となった。

 女子プロゴルファーの世界では学年別に「○○世代」と言われることが多い。きっかけはアマチュアで優勝した勝みなみ、畑岡奈紗を擁する1998年度生まれが黄金世代と呼ばれ始めたことだ。黄金世代は歴代最多となる14人ものツアー優勝者を誇る巨大勢力となっている。

2003年度生まれの「ダイヤモンド世代」。記念すべき10勝目となった竹田麗央の「KKT杯バンテリンレディス」優勝 写真:Getty Images
2003年度生まれの「ダイヤモンド世代」。記念すべき10勝目となった竹田麗央の「KKT杯バンテリンレディス」優勝 写真:Getty Images

 以降、古江彩佳、西村優菜、吉田優利ら2000年度生まれがプラチナ世代ともミレニアム世代とも呼ばれ、山下美夢有、笹生優花、西郷真央らの2001年度生まれが新世紀世代とされる。

 これらはメディアが名付けたものだと思うが2003年度生まれは選手たちがプロ1年目を終えたころに「私たちはダイヤモンド世代」と自ら発信したものが定着した珍しい形。そして、その名の通り見事な輝きを放つ世代に成長してきた。

 ダイヤモンド世代の優勝第1号は2022年9月の「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」で鮮やかな4打差逆転劇を演じた川崎春花だった。翌週の「住友生命Vitalityレディス東海クラシック」で尾関彩美悠が続く。川崎は10月の「NOBUTAGROUPマスターズGCレディース」でも優勝してダイヤモンド世代はプロ1年目に計3勝を挙げた。

 2年目の2023年は櫻井心那が4勝、神谷そらが2勝をマークして通算9勝。そして今年、竹田が節目の10勝目をつかみ取ったわけだ。

 今年はダイヤモンド世代が21歳になるシーズン。4月2日生まれの竹田はすでに21歳を迎えている。

 実は黄金世代もプラチナ世代も、そして新世紀世代も世代通算10勝目(国内ツアーのみ)に到達したのは同じ21歳のシーズンだった。

 10勝目を挙げた時期はプラチナ世代が9月、新世紀世代が6月、黄金世代が5月だった。対してダイヤモンド世代は4月。わずか1カ月ではあるが、黄金世代を抑えて現在の女子ツアーの主力である「○○世代」の中で最も早く10勝に達したのだ。

 ただ、時代をさかのぼればダイヤモンド世代よりも早く10勝した学年がある。それは1985年度生まれ。宮里藍、横峯さくらという2大スターを輩出した学年だ。

 通算10勝目は20歳のシーズンである2005年の8月。その時点で宮里が9勝、横峯が1勝だった。

ツアー屈指の飛ばし屋がそろうダイヤモンド世代

 さて、ダイヤモンド世代だが、その特色は何といっても飛ばし屋ぞろいだということである。昨年のドライビングディスタンス1〜3位は神谷、竹田、櫻井とダイヤモンド世代が独占。今年も1位は穴井詩に譲っているが2位に神谷、3位に竹田、4位に小林夢果、6位に櫻井と上位にひしめいている。これだけ飛ばし屋がそろった世代はほかにない。

 竹田の初優勝には今年はまだ調子が出ていない他のダイヤモンド世代の面々も刺激を受けたことだろう。まだシーズン序盤。この後、同世代の大活躍を期待させてくれるデータもある。

ツアー屈指の飛ばし屋がそろうダイヤモンド世代。左から神谷そら、櫻井心那、竹田麗央 写真提供:Getty Images
ツアー屈指の飛ばし屋がそろうダイヤモンド世代。左から神谷そら、櫻井心那、竹田麗央 写真提供:Getty Images

 それは、世代の国内通算10勝をマークした21歳のシーズンに先輩たちが大きくステップアップしているというデータである。黄金世代は20歳シーズン(2018年)の4勝(米女子ツアー側で出場した畑岡のTOTOジャパンクラシックも含む)から21歳シーズン(2019年)は12勝へと3倍増。

 プラチナ世代は20歳の2020年はコロナ禍で試合数が激減したこともあって4勝にとどまったのに対して試合数が通常に戻った2021年は8勝と倍増した。

 新世紀世代はより顕著で20歳の年(2021年)は山下の1勝のみだったが21歳シーズン(2022年)は山下と西郷が各5勝の計10勝と大ブレーク。メルセデス・ランキング1、2位を占めた。

 これらのデータから読み解けるのは今の若手は21歳でひとつのピークを迎える傾向があるということ。今年はダイヤモンド世代が主役のシーズンになるかもしれない。

宮井善一