ゴルフ場は滑りやすい場所が多いです。ゴルフシューズを持っていないからと言って、野球やサッカーのスパイクを使用した場合、グリーンがどのような状態になるのかゴルフ場関係者に聞いてみました。

ゴルフ場では滑らないことよりもグリーンに傷をつけないことのほうが大事

 ゴルフ場関係者と話をしていると、この1〜2年の間に野球やサッカーのスパイクでプレーしようとする来場者が増えたそうです。

野球のスパイクを履いてのプレーは絶対にNG 写真:AC
野球のスパイクを履いてのプレーは絶対にNG 写真:AC

 おそらくゴルフを始めてはみたものの、長く続けるかどうか分からないので、ゴルフシューズをまだ購入していないのでしょう。そして、ゴルフシューズのレンタル方法が分からなかったので、自分が持っているシューズの中で一番滑りにくい物を選んだのだと思われます。

 ゴルフ場の斜面は滑りやすいため、滑らないシューズを選ぶことは大事です。ただ、野球やサッカーと違い、ゴルフにはグリーンというデリケートなエリアがあります。グリーン上では滑らないことよりも表面に傷をつけないことのほうが大事です。

 グリーンはボールを転がしてカップを狙うエリアで、ボールの転がりに影響を与える行為は禁止されています。グリーン上で走ったり、足を引きずるように歩いたり、カップの近くをむやみやたらと踏んだりするのはNGです。

 野球やサッカーのスパイクでグリーン上を歩いたら、靴底についている金具で表面に傷がついたり、突起物で凹凸がついたりします。なので、これらのシューズはゴルフにまったく適していません。

 野球のスパイクでプレーされた経験があるゴルフ場に、グリーンがどのような状態になるのか教えてもらいました。

「ある日、お客様から『グリーン上に野球のスパイクの跡みたいなのがあるよ』という報告がありました」

「確認に行ったところ、野球の金具スパイクの歯でカップの周辺がギザギザになっていました。我々よりもお客様が怒っていまして、『グリーンはゴルフ場の大事な商売道具なんだから、犯人を見つけて器物損壊罪で訴えろ』とおっしゃっていました」

「ただ、報告してくださったお客様がその日のトップスタートでしたから、野球のスパイクを履いてプレーしたのは早朝プレーのお客様です」

「早朝プレーは、お客様がご自身でキャディーバッグをカートに積んでスタートしますから、スタッフがシューズをチェックすることはできません。結局、犯人は見つかりませんでした」

「その傷は修復不可能というほどではなく、芝生を張り替えたりする必要はありませんでしたが、プレーに支障がある不自然な傷が残り、お客様にはご迷惑をおかけしました」

ゴルフシューズがなければスニーカーでプレーしてほしい

 別のゴルフ場関係者は、野球のスパイクを履いてプレーしようとしたゴルファーを見つけ、シューズを履き替えてもらった経験があると語り、次のように指摘します。

「ゴルフ場のレンタルシューズは、数がそんなに豊富なわけではありませんが、事前にご相談いただければ用意できる場合もありますし、『野球のスパイクではなくスニーカーを履いてプレーしてください』とお伝えすることもできます」

ゴルフシューズがないときはスニーカーを履いて 写真:AC
ゴルフシューズがないときはスニーカーを履いて 写真:AC

「ゴルフ場としては、野球やサッカーのスパイクでグリーン上を歩かれるのが一番困ります。スニーカーであればグリーン上を歩くのは問題ありませんから、あとは斜面で滑らないように気をつけていただければOKです」

「初心者の方が増えているのはゴルフ場にとって喜ばしいことなのですが、道具をまだ買いそろえていない人も多いです。ゴルフシューズ以外にも、キャディーバッグを購入していないため、クラブケースで来場されることもあります。あるいは、1人のクラブセットを4人で共有するつもりで来場されるお客様もいます」

「クラブケースは乗用カートに固定するのが難しく、ベルトにぶら下げるしかありません。固定された状態にはなりませんからカート走行中にクラブが落下する危険があります。1人のクラブセットを4人で共有するのは、スロープレーの原因になるのでご遠慮いただいております」

「初心者の方は知らないことがあるのは当然ですから、分からないことは聞いてほしいです。ご自身で判断すると、当日にプレーをお断りするケースも出てきます」

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがありますが、本当にそのとおりです。ゴルフは広大なフィールドをみんなで共有するスポーツなので、独自のルールやマナーがあります。

 道具が揃っていないのにゴルフを始めるのは恥ずかしいことではありませんが、ゴルフ場のルールやマナーを守らないのは恥ずかしい行為ですし、他人に迷惑をかけます。

 昨今は、ゴルフ道具のレンタルサービスも以前と比べて充実してきましたので、そういったサービスを活用しながら上手にゴルフを楽しんでほしいです。

保井友秀