RKB×三井松島レディスは岩井明愛・千怜姉妹と山下美夢有のプレーオフになり話題となりました。国内女子ツアーでは史上初となった「姉妹プレーオフ」や「姉妹ワンツーフィニッシュ」ですが、国内男子や海外では過去にどんな「兄弟対決」があったのでしょうか。

兄弟でのプレーオフは男子ツアーでも過去1回だけ!

 岩井ツインズの妹・千怜が姉の明愛、山下美夢有とのプレーオフを制して今季初優勝を飾ったRKB×三井松島レディスは女子ツアー史上初の出来事が相次いだ。

 姉妹がプレーオフで戦うことが初めてなら、同一大会で姉妹による1、2位も初めて。明愛が4月に初優勝しており、初めての姉妹同一シーズン優勝も成し遂げた。

双子姉妹により史上初のプレーオフが話題となった岩井明愛(左)と岩井千怜(右)(写真は2023年KKT杯バンテリンレディス) 写真:Getty Images
双子姉妹により史上初のプレーオフが話題となった岩井明愛(左)と岩井千怜(右)(写真は2023年KKT杯バンテリンレディス) 写真:Getty Images

 では、男子ではこのような例はあるのだろうか。

 男子の兄弟選手といえば、将司・健夫・直道の尾崎3兄弟を思い浮かべる方が多いだろう。そのほかにも、古くは橘田規・光弘兄弟、河野高明・光隆兄弟、近年では宮里聖志・優作兄弟ら兄弟で優勝を手にしているプロは多数いる。

 アマチュアでは大正末期から昭和初期にかけて活躍し、誕生したばかりのプロゴルファーの指南役を務めるなどゴルフ界の発展に多大な貢献を果たした赤星四郎・六郎兄弟も忘れてはいけない。弟の六郎は第1回の日本オープンチャンピオンだ。

 強い兄弟選手がたくさんおり、しかも女子よりはるかに長い歴史がある男子でも、兄弟によるプレーオフは1989年ジーン・サラゼンジュンクラシックでの尾崎健夫・直道対決ただ1例しかない。それくらいのレアケースなのだ。

 ちなみにこの時は3日目を終えて単独首位にいた直道を5位にいた健夫が捕えて2人のプレーオフに持ち込み、健夫が勝利した。

 プロの試合ではないが、赤星兄弟は1926年の日本アマで首位に並んでホールアウトしたことがある。プレーオフは後日行われることになったが、弟の六郎が棄権して四郎の優勝となった。

 海外でも兄弟、姉妹によるプレーオフは稀だ。米女子ツアーでは例がなく、米男子ツアーで辛うじて見つけられたのが1910年の全米オープン。アレックスとマクドナルドのスミス兄弟(英国)にジョン・マクダーモット(米国)の3人による18ホールのプレーオフが行われ、71で回った兄のアレックスが優勝している。

尾崎3兄弟のワンツーフィニッシュは13回もあった

 次に国内男子の兄弟選手同一大会1、2位を取り上げたい。これは尾崎3兄弟の独壇場で計13回あった。しかも、1999年の日本プロでは直道が優勝し、将司が2位、健夫が3位に入って兄弟で1〜3位を独占という空前絶後の快挙を成し遂げている。

 また、兄弟ではないが1991年関西オープンで杉原親子が1、2位(優勝が息子の敏一、2位が父親の輝雄)を占めた例がある。

男子ツアーでは尾崎将司、健夫、直道の「尾崎3兄弟」が様々な記録を残している 写真:JGTOimages
男子ツアーでは尾崎将司、健夫、直道の「尾崎3兄弟」が様々な記録を残している 写真:JGTOimages

 最後に兄弟姉妹による同一シーズン優勝はどんな例があるのか調べた。

 国内女子ツアーは福嶋晃子・浩子、堀奈津佳・琴音、そして岩井ツインズの3組が姉妹優勝を果たしているが、同一シーズンとなると今季の岩井姉妹が初めての例である。

 国内男子は河野高明・光隆兄弟が1967、69、70年の3回達成。尾崎3兄弟は3人のうち2人の優勝が10回、3兄弟全員の優勝が5回もあった。1988年には将司6勝、直道4勝、健夫2勝で計12勝を挙げているからすごい。

 また、台湾出身の陳志明・志忠兄弟も国内男子ツアーで同一シーズン優勝を2回達成している。

 男子と女子にまたがった例も2つある。まずは中嶋家。1986年に兄の中嶋常幸が6勝し、妹の恵利華(現在の登録名は中島エリカ)が2勝を挙げた。次は宮里家で2005年シーズンに兄の宮里聖志が1勝し、妹の藍が6勝している。

 ここまで紹介したように兄弟姉妹で活躍した例は結構多い。だが、双子が共にプロの世界で結果を残している例は日本では岩井姉妹だけだ。

 海外に目を向けると、岩井姉妹より1年早い2001年生まれのホイゴー兄弟(デンマーク)が2年前に欧州ツアーで双子による2週連続優勝を飾って注目を集めている。岩井ツインズもいずれ世界に名を轟かせる存在になってほしいものだ。

宮井善一