巡業公演『松竹特別歌舞伎』で獅童が歌舞伎を解説

 歌舞伎俳優の中村獅童が22日、都内で行われた「令和六年度(公社)全国公立文化施設協会主催『松竹特別歌舞伎』製作発表記者会見」に出席した。

 同公演は、6月30日から始まる全国巡業公演。獅童と、獅童の長男で歌舞伎座『六月大歌舞伎』を機に初代中村陽喜を襲名する小川陽喜くんや、中村種之助、澤村國矢らが出演する。

 2022年の巡業公演で獅童初の試みとなる『中村獅童のHOW TO かぶき』を行い、歌舞伎初心者や子どもも歌舞伎が楽しめるよう、歌舞伎ならではの表現方法や約束事をわかりやすく解説。今回も『中村獅童のHOW TO かぶき』を行う他、『鞘當(さやあて)』『供奴(ともやっこ)』『橋弁慶(はしべんけい)』を上演する。獅童と陽喜くんは『橋弁慶』で親子共演し、獅童が弁慶を、陽喜が牛若丸を演じる。

 獅童は会見早々、「今日は僕1人なんで! 陽喜はいませんからね。『なんだ獅童だけかよぉ〜』って、ひとつも手があがらないかも」と報道陣を笑わせた。『中村獅童のHOW TO かぶき』について、「ひとつのお役を演じる上で、顔(化粧)をして衣装を身にまとってカツラをつけて、その役に近づいていく。その過程は楽屋に入らないと見ることができない。前回やった時に、『歌舞伎のお化粧ってどういう風にするんだろう』と興味をお持ちの方が多いことが分かりました。『歌舞伎=難しい』と思われていますが、お化粧している姿や白塗りなんかは、お子さまも喜んでくれると思う」と語った。

 また「お子さまに限らず若い世代の方たちは、『歌舞伎=自分たちとは程遠いもの、意味が分からない、難しいもの』というイメージが強いと思うんです。でも歌舞伎の中には、時代物、世話物、新作歌舞伎、舞踊といろいろなジャンルのお芝居があります。そこで特に見やすいものを選んだり、解説を加えることによって、より身近に感じていただきたい。『歌舞伎はもともと庶民の娯楽だったんだ』と、強くメッセージとして発信していきたい。お子様や家族連れにも歌舞伎に興味をもってもらうことは、わたくしの使命だと思っています」と語った。

 現在、陽喜くんは舞踊家の藤間勘十郎氏に『橋弁慶』の舞踊を稽古してもらっているという。「勘十郎先生のところでずっと教わっていて、陽喜もお稽古していくうちに大好きな踊りになったので、このまま巡業の演目にしたらどうか、と決まりました」と明かし、「勘十郎先生に教わった通りにのびのびと、病気することなく元気よくやってくれたら」と語った。『橋弁慶』に関して獅童は稽古を見ていないといい、「といっても、一緒にやっているとあーだこーだ言いたくなっちゃう。ついつい口出ししちゃう」と親心をのぞかせた。

 陽喜くんは舞台が大好きで、常に芝居のことを想像しているという。「想像してるときに声をかけても返事してくれない。この前も小学校に行くときに(想像していて)駅の看板で頭ぶつけて脳しんとうを起こして。『ぼく倒れたんだ。気づいたら知らないおばさんに大丈夫? って言われた』と夜に伝えてきて。なかなか個性的です」と明かした。現在はプロレスにもハマっているといい、「今の陽喜の夢は、『昼の部は歌舞伎座に出て、夕方からプロレスラーになる』です。歌舞伎役者でプロレスって今までいなから、『いいと思うよ』って言いいました」と語った。ENCOUNT編集部