子育ては夫婦で役割分担「教育面は妻がメイン、お芝居に関してはわたくし」

 歌舞伎俳優の中村獅童が22日、都内で行われた「令和六年度(公社)全国公立文化施設協会主催『松竹特別歌舞伎』製作発表記者会見」に出席。6歳の長男・小川陽喜くんの成長ぶりや、自身の“遅咲きの俳優人生”について語った。

 同公演は、6月30日から始まる全国巡業公演。獅童と、歌舞伎座『六月大歌舞伎』を機に初代中村陽喜を襲名する陽喜くんや、中村種之助、澤村國矢らが出演する。2022年の巡業公演で獅童初の試みとなる『中村獅童のHOW TO かぶき』を行い、歌舞伎初心者や子どもでも歌舞伎が楽しめるよう、歌舞伎ならではの表現方法や約束事をわかりやすく解説。今回も『中村獅童のHOW TO かぶき』を行う他、『鞘當(さやあて)』『供奴(ともやっこ)』『橋弁慶(はしべんけい)』を上演する。

 今回は『六月大歌舞伎』から巡業公演と続く。陽喜くんについて獅童は、「なかなか6歳児にしてはハードな状況。『6月からずっとぶっ通しだけど、やる?』と聞いたら、舞台が大好きなので、『やる』と」と語った。現在は小学校に通いながら稽古をしており、「あんまり勉強勉強っていうのものね。僕も子どもの頃、あんまり勉強好きじゃなかったから。教育面は妻がメイン、お芝居に関してはわたくしが、という役割分担です」と明かした。また陽喜くんは戦国武将好きで歴史の本を買ってくるといい、「たまにすっごい難しい質問をされて、分からないことがある。その時は『自分で調べなさい』って言っています(笑)」と明かした。

 陽喜くんについて、「やんちゃでいたずらばっかりして、どこにでもいる6歳児」と説明するが、「大人の世界にいると、“どこにでもいる6歳児”では困ることもある」という。「この間、テレビのインタビューの途中に寝転がっちゃった。『これが獅童一家の現実なので、そのまま流してください』って言ったら、本当にそのまま放送されました」と明かした。その後、獅童は陽喜くんを怒ったという。「ひっぱたいて、そこにあった着物とか全部投げて。『お前たちの襲名で、来てくださってるんだから。寝転がるなんてかっこ悪いしやめろ。嫌だったらやめろ』と。ちょっとやりすぎたかなと思ったけど、その後、テレビ朝日の『徹子の部屋』の収録があって、その時は完璧にやったんですよ。徹子さんとのやり取りが、親の僕から見ててもなかなかおもしろくて」と、成長ぶりを語った。

 陽喜くんは『橋弁慶』で牛若丸を演じるが、「僕が子役の頃、この人(陽喜)みたいに良い役ばっかりつきませんでしたから。むかつくんですよ(笑)」と自身の若手の頃について告白。「僕は“遅咲き”もいいところですよ。(活躍し始めたのは)30歳過ぎてからだし、そんなに会社の方にも期待されてなかったと思う。ある日突然なので」と語った。

「(1996年に)歌舞伎座の納涼歌舞伎で、(故・十八世中村)勘三郎兄さんが声をかけてくれて、『狐狸狐狸ばなし』という喜劇で三枚目の役をやりました。牛娘という女方。それまでは歌舞伎で誰かと話したり、声を発することもない並びの役ばかりで。存在感も薄くて。勘三郎兄さんにお食事に連れて行って頂けるようになって、カラオケとかお酒を飲んでいる時にはじけている姿を見て、『キミそんなに面白いんだったら、今度、役を抜てきするから』と。まさかの牛娘のはじけぶりで、会社の方も驚いて、椅子から転げ落ちて笑って、それが始まりだった。それが30歳手前」と振り返った。さらに「世の中的には、30歳で(2002年公開の)映画『ピンポン』に出させて頂いたのが転機です」と語った。

「それまでは並びの役ばっかりだったのが、その後、新春浅草歌舞伎でいきなり主役になって。加速する“中村獅童”という知名度に対して、歌舞伎の技術が到底追いつかない。追いつくので精一杯。どんどん知名度が上がっていくし、歌舞伎でもどんどん良い役を頂けるんだけど、追いつくので精一杯でした」と、当時の状況を明かした。

「今は(陽喜に)皆が優しくしてくれて、声をかけてくださる。だから、『おまえ、本当に勘違いするなよ』って言ってます」と、陽喜くんに心得を伝えていると告白。「『誰のおかげだと思ってるんだ、パパがいるからああいう風に接してくれるんだよ』って(笑)。『学校に通っている、声をかけられない、生徒としている姿が本来のお前なんだよ』って言ってます」と語った。ENCOUNT編集部