同期の高橋英樹は「早いぜ!!寂しくて 涙もでないよ」

 俳優の中尾彬(なかお・あきら)さんが16日、心不全のため亡くなった。22日、所属事務所の古館プロジェクトが発表した。81歳だった。中尾さんを作品で起用した北野武監督、俳優仲間の高橋英樹らが追悼コメントを発表した。

 北野監督は公式サイトを2カ月ぶりに更新し、中尾さんを追悼した。

「また一人、いい役者がいなくなった。大変ショックです」

 北野監督は2012年公開の映画『アウトレイジ ビヨンド』、15年公開の『龍三と七人の子分たち』で中尾さんを重要な役で起用していた。

 日活ニューフェース第5期同期の俳優・高橋英樹はブログを更新し、「本当に 突然のことで大変! 大変! 驚いています」とコメント。その上で思いの丈をつづった。

「昨年の三月、WBCで 優勝したそ日に二人で 雑誌の対談をしていました。とても 盛り上がった時間でした。日活の入社も同期 奥さん同士とも共演しあって心は近い存在でした。この頃 テレビで観ないなあと思っていましたら この突然の訃報です。長く長く 付き合いたかったなあ!逝ってしまうのはまだ! 早いぜ!!寂しくて 涙もでないよ。心よりご冥福をお祈りいたします」

 中尾さんの訃報はこの日午後2時頃、所属事務所の公式サイトで発表された。妻で俳優の池波志乃が公表したコメントによると、中尾さんは今年に入って足腰が悪く、体力も落ちていたという。医師の訪問を受けながら、自宅でゆっくり休む日々だったが、時には取材や足腰をかばっての仕事もしながら、今年12月の旅行に向けてリハビリに取り組んでいたという。だが、今月15日に容態が急変。16日の夜中に自宅で亡くなったという。

「私と二人の時に、とても穏やかに本当に眠るように息を引き取りました。あまりに急で、変わらない顔で逝ってしまったので、まだ志乃〜と呼ばれそうな気がします。叶いますならば、中尾彬らしいね〜と笑って送ってあげてくだされば幸いです。長い間、本当にありがとうございました」

 中尾さんは1942年8月11日、千葉県生まれ。61年に武蔵野美術大入学後、日活第5期ニューフェイスに合格した。だが、絵画を捨てきれず、63年にはパリ留学。帰国後、劇団「民芸」に入団し、翌年公開の『月曜日のユカ』で映画デビューを飾った。その後、映画「本陣殺人事件」主演。以降は存在感のある脇役として、テレビ朝日系ドラマ『暴れん坊将軍』、カンテレ・フジテレビ系『GTO』、テレビ朝日系『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』など数々の話題作に出演した。プライベートでは、1978年に12歳下の池波と結婚。中尾さんはネクタイが嫌いで、池波が「ねじねじ」と表現するスカーフやマフラーをぐるぐるにして巻くスタイルを好み、これがトレードマークになっていた。バラエティー番組などで夫婦共演することも度々で、芸能界きっての「おしどり夫婦」としても知られている。ENCOUNT編集部