前号では、最上級グレードの500hにのみチョイ乗りした新型RX。今回はその500hも含めて、450h+、350の3モデルに。富士スピードウェイ周辺の公道で試乗。その印象はどうだったか? エンジン編集長のムラカミがリポートする。

サーキットも走れるSUV !?

袖ヶ浦のサーキットで初めて乗った新型RX500hには本当にビックリした。ポルシェ・カイエンやマカンじゃあるまいし、ラグジュアリー志向の強いレクサスの高級SUVが、涼しい顔でサーキット走行をこなすダイナミック性能を備えていたのだから。ひとつには、その前のNXで始まったネクスト・チャプターのクルマづくりの基本方針に従って、徹底的に体幹を鍛えてきたこと。すなわち、ボディやシャシーの剛性が明らかに大幅にアップしたこと。そして、もうひとつは、この500hで新たに導入されたフロントに直4ターボ+ワンモーターのパラレルハイブリッド、リアに強力なモーターのeアクスルを使ったダイレクト4という積極的な走りを志向するシステムが、新型RXをサーキットも走れるSUVに押し上げたのだと知って、感慨深いものがあった。



さて、それでは公道で乗るとどうなのか、興味津々、富士スピードウェイ内のレクサス・カレッジを基地とする試乗会に赴いた。今回は500hだけではなく、450h+と350も用意されていて、順番に乗ることができたので、それぞれの性格の違いが良く分かって面白かった。

最初に乗ったのは袖ヶ浦と同じ500hのFスポーツ・パフォーマンス。これは公道で乗ると、少しトゥー・マッチかなと思えるくらいにスポーティな仕立てになっていた。足回りも固めだし、パワートレインも、スポーツ・モードにしてアクセレレーターを強めに踏むと、かなり積極的にリアのモーターを駆動させて後ろから押してくる感じが伝わってくる。そりゃ、サーキットをあんなに楽しく走れてしまうのだから、当然といえば当然なのだろう。コーナリング時にも、走り方に合わせて実に巧みに前後のトルク配分をコントロールしている感じが伝わってきた。ダイナミックな走り重視で選ぶなら、間違いなくこれが最適に違いない。けれど、ファミリー・ユースも考えた時にはどうだろう。



バランスの良い450h+

と、そんなことを思いながら、次に乗ったのが450h+のバージョンL。これが500hに感じた疑問にピタッと答えてくれるような、上質なラグジュアリー感と程よいスポーティさを兼ね備えたモデルだった。足回りが少し柔らかくなっているようで、先ほどの500hより乗り心地がいい。クルマの動きも全体的に穏やかな印象で、リラックスして運転することができた。駆動もフロントが中心になっているらしく、それをリアのモーターが少しアシストしている感じの走りだ。それでもスポーツ・モードを選んで積極的にアクセレレーターを踏んでみると、これが結構なスピードで山道をこなすくらいの実力を備えていることがわかった。体幹が鍛えられていることが新型RXに共通する特徴で、それがパワートレインが異なっていても、根本的な走りの良さとなって現れてくるのだろう。ただし、450h+はトランスミッションが無段変速機になっているから、穏やかな走りは得意だが、メリハリの効いた走りでサーキットや山道を攻めたいという人にはやや不満が残るかも知れない。無段変速機のゴム紐が伸びていくような曖昧な加速感が、まったく顔を出さないというわけではないからだ。

最後に乗った350のFスポーツは、昔ながらの内燃機関のいい味がそのまま出ていて、これはこれでいいんじゃないか、と思わず笑顔になってしまうようなモデルだった。基本的に500hと同じ2.4リッター直4ターボは279ps/430Nmのパワー&トルクを発生。8段ATを介して4輪を駆動する。特に電気モーターの加勢がなくても、これで十分といえば十分である。いや、それどころか、余計なものが加わらないこれこそが、一番気持ち良くスポーティな走りを楽しめるモデルだ、と感じる人も決して少なくはないだろう。

というわけで、3車3様の味のある新型RX。ぜひ自分の用途と走りの好みに従って選んで欲しい。鍛えられた体幹はどれにも付いてくる。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬



(ENGINE2023年4月号)