日本のモーターショーに初めて出展したBYDはジャパン・モビリティショー2023で、BYDのプレミアム・ブランドのひとつである「デンツァ(騰勢)」の高級ミニバン、「D9」をお披露目した。

ダイムラーとの協業

日本市場では手頃な電気自動車=バッテリーEV(BEV)を販売するBYDは2010年に当時のダイムラーと対等な合弁会社、デンツァを設立。いくつかのモデルを発売したものの、一旦開店休業状態になり、メルセデスの出資比率も10%まで引き下げられた。しかし2022年に本格的な活動を再開。今後は欧文表記社名の5文字(DENZA)それぞれを冠したモデルレンジを再構築するという。その先駆者となるのが、「D」の文字を車名に用いたこのミニバンだ。

アルファードよりひと回り大きい

D9はメルセデス・ベンツとの共同開発で、ボディ・サイズは全長×全幅×全高=5250×1960×1920mm、ホイールベースは3110mm。日本の高級ミニバンの代名詞である「トヨタ・アルファード」と比べると全長は255mm、全幅は110mm、ホイールベースは110mm大きい。

パワートレインはBEVとプラグイン・ハイブリッド(PHEV)が設定され、それぞれ前輪駆動と4輪駆動が用意される。今回展示されたモデルはBEVで、床下には容量103.36kWhのブレード・バッテリーこと、BYD独自のリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載。本国仕様のデータによれば、2WDは312ps、4WDは374psで、それぞれ620kmと600kmの走行が可能とされる。

PHEVも設定

PHEVは140psの1.5リッター直4直噴ターボをフロントに搭載。モーターは300ps、もしくは305psのワンモーター仕様と、407psの2モーター仕様があり、動力用バッテリーは11.06kWhと40.06kWhの2種類を設定。ガソリンと電力を合わせた航続距離は945〜1040kmに達するという。

BEVとPHEVでは外観の差別化も図られる。フロントまわりは、BEVが今回の出展車両のようなグリルレスとなるのに対し、PHEVは先代アルファードあたりを想起させるクロームのブロックを縦横整然と並べたグリルを備える。

2列シートのVIP仕様も用意

室内は日本製の競合車にも見劣りしない質感。今回の展示車両は3列シートだったが、上海モーターショーでは、「レクサスLM」のような2列シート仕様が公開されており、VIPからファミリーまで幅広いニーズを満たしてくれそうだ。細かいところでは、2列目シートの側面に組み込まれたポケット状のワイヤレス充電器に目を惹かれた。スマートフォンが脱落しづらいこのアイデアは国やメーカーを問わず普及してもらいたいところだ。

日本ではアルファードとヴェルファイア、そしてレクサスLMなどトヨタ陣営一強の感がある高級ミニバン市場だが、中国では群雄割拠となっている。初代LMも元々は中国を主戦場とするべく誕生したモデルである。

現時点で具体的な日本投入計画はないようだが、本格上陸すれば日本の各社をも脅かしそうなD9。熾烈な争いを勝ち抜いた中国発信の高級ミニバンが、今後は他国でも存在感を増すのかもしれない。

文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)