アウディが発表した新型「アウディRS6アバントGT」は、世界最速クラスのステーションワゴンといっていいだろう。4.0リッターV8ツインターボの4.0TFSIエンジンは、最高出力630ps、最大トルク850Nmに達し、0-100km/h加速は3.3秒を記録。ベースとなった「RS6アバント」の3.6秒から0.3秒短縮している。

RS6としては現行で4代目

元々、「アウディA6」から派生したA6の最速最強モデルとなるRS6。RS6の初代と2代目にはセダンもラインナップされていたが、3代目と4代目はワゴンのみというアウディらしいモデルだ。4代目の現行型は4ドア・クーペのRS7スポーツバックとともに2020年11月に発表された。

630ps、850Nmを誇る

ベース車と同じ4.0リッターV型8気筒と8段ティプトロニック(AT)という組み合わせでありながら、最高出力を30ps向上させ、最大トルクも50Nm増強することで、最高出力は630ps、最大トルクは850Nmに達している。

0-200km/h加速もRS 6 Avantから0.5秒の短縮となる11.5秒を記録し、最高速は280km/h(リミッター)から305km/hに到達した。なお、この最高速はRS6アバントの「オプション・パッケージ」装着車と同等だ。

意のままのハンドリングを実現

もちろん直線番長的なキャラクターではなく、ハンドリングや快適性にも目配りされている。リア・アクスルに備わる「クワトロ・スポーツ・ディファレンシャル」は専用セッティングを施した。アジリティの向上を狙ってドライビング・モードを「ダイナミック」にすると、リア・アクスル重視のトルク配分になるのがニュース。スポーティでありながらもナチュラルで意のままのハンドリングを実現する。

加えて、「アジャスタブル・コイルオーバー・サスペンション」も初めて標準化され、RS6アバントよりも車高を10mmローダウンさせることで優れたドライビング・ダイナミクスだけでなく、快適性も両立。また、コンチネンタル・タイヤのフラッグシップである「スポーツコンタクト7」が新たに装着(285/30R22サイズ)され、ハンドリングやグリップの向上に寄与している。

レースカーからインスピレーション

写真からも分かるように、RS6アバントGTの魅力は、もちろん速さだけではない。その外観はアウディのネッカーズルム工場の研修生グループによるプロジェクト「RS6 GTOコンセプト」から発想されたもの。ボディワークや車体構造および車両メカニック、塗装工、金型工などに就いていた12人の研修生が「アウディ・デザイン」のサポートのもと、6か月間挑んだプロジェクトによる成果なのだ。

RS6 GTOコンセプトは1989年登場の伝説的な「アウディ90クワトロIMSA GTO」というレースカーからインスピレーションを得ている。過去のプロジェクトやレースカーの知見を埋もれたままにしていないのもアウディらしい。

ロー&ワイドを強調

そのコンセプト・モデルから想起されたRS6アバントGTのエクステリア。フロントまわりではグリルのシングルフレームとエアインテークをハイグロスブラックで仕立てることで、ロー&ワイドを強調。さらに、フロントエプロンの垂直ブレード、新しくなったインテーク・グリル、バンパーに統合されたフロント・スプリッターが力強く、シャープなデザインに仕立てている。

また、今回初めてボンネットのデザインと素材が一新され、カーボンファイバー製にアップデートされた。軽量化にも寄与する新設計ボンネットは、ボディ・カラーとの印象的なコントラストも生み出している。

エアアウトレットに注目

足元では、22インチ大径ホイールとその後方に統合されたエアアウトレットに注目だ。エアアウトレットはもちろん機能パーツでもあり、ホイールアーチ内の空気を効果的に排出させ、ブレーキの冷却性能を向上。フェンダーもフルカーボン化されるなど、生産面でも画期的な試みとなっている。

そのままサイドビューを詳細に眺めると、サイドスカートのインサートをはじめ、グロスカーボン・カバー付ドアミラー、専用となる22インチの6スポーク・アルミホイールがレーシーなムードを放っている。

ダブル・ウイングを装着

リアビューも鮮烈な雰囲気を漂わせている。精悍なブラック仕上げの「RS 6 GT」エンブレム、ボディ後端を低く印象づける専用デザインのテールゲート、そして、ワイド感をもたらす垂直センターリフレクターを備えたリアディフューザー、モータースポーツからヒントを得たダブル・ウイングなどを用意する。

このダブル・ウイングはRS6 GTOコンセプトに装着されていたものとほぼ同一だ。さらに、歴代のRS6アバントでは初めてルーフレールが廃止され、スポーツカーのような低く、フラットなシルエットになっている。

専用デカールでさらに演出

エクステリアではオプションで専用デカールも見逃せない。2タイプが設定されていて、アルコナホワイトのベース・カラーに、アウディ・スポーツの伝統的なカラーであるブラックとグレー、レッドをコーディネイトしたデカールは前後のエンブレムまでこのカラーで仕立てている。

もう1タイプはナルドグレーもしくはミトスブラックのベース・カラーに、ブラックとグレーデカールが組み合わされたデカールを備える。この組み合わせにはハイグロスブラックまたはマットブラックのホイールを設定。シングルフレームのアウディ・エンブレム、テールゲートのモデル・エンブレムはブラックが標準になる。

なお、デカールを装着しない場合は、アルコナホワイト、ナルドグレー、クロノスグレーメタリック、マデイラブラウンメタリック、ミトスブラックメタリックの5色から選択できる。

内装もGT専用仕立て

そのほか、レッドもしくはコッパー(銅)の専用アクセント・カラーをステアリング・ステッチ、センターコンソールのサイド、センターアームレスト、ドア・アームレストなどに配置した「RSデザインパッケージプラス」も標準装備。シートもレザーとダイナミカ・マイクロファイバーが組み合わされた新しい「RSバケットシート」になり、フロアマットとヘッドレスト下には「RS 6 GT」のレタリングが施されている。

世界限定660台生産となるアウディRS6アバントGTだが、日本での発売の有無や時期、価格などは現時点では明らかにされていない。しかし導入されれば、アウディの熱狂的な支持者はもちろんのこと、スポーツカーのファンからも熱視線を浴びることは間違いなさそうだ。

文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)