ホンダは北京モーターショー2024で、新型電気自動車=バッテリーEV(BEV)となる「イエ」シリーズが発表された。現在発売されている「e:N」(イーエヌ)シリーズに続く新しいラインナップとなる。

2040年までにEV100%を目指す

「2040年までにEV・FCEV販売比率をグローバルで100%にする」という電動化戦略を掲げているホンダ。米国では、GMとのBEVの共同開発が中止したものの、日産と電動化、知能化対策として戦略パートナーシップの検討を開始。カナダでは、旭化成などと組み、バッテリーの主要部材の生産工場立ち上げを検討するなど、以前から進められているソニーとの共同開発を含めて、EVやFCEVに注力する姿勢を崩していない。もちろん、世界一のEV市場である中国は重要だ。

SUVと4ドアGT

イエ・シリーズの第1弾は「イエP7」と「イエS7」と呼ばれるSUVで、北京モーターショーでは第2弾となるコンセプト・モデルの「イエGTコンセプト」もワールドプレミアされた。イエ・シリーズは今後、中国で2027年までに6モデルの投入が予定されている。

イエ・シリーズは、「M・M思想」に基づく人を中心としたパッケージングに加え、中国で新開発されたEV専用プラットフォームの適用と、長年培った電動化技術の融合により、「操る喜び」をさらに高めるなど、走りも磨き上げたという。また、智能化技術では、AIによるサポートなどですべての乗員が快適に移動できる空間が追求された。また、急速に電動化が進む中国市場に向けて、車両には次世代EV向けとなる新たな「H」マークを適用するなど、ホンダの電動化への決意も込めている。

新開発のEV専用プラットフォームを採用

イエP7とイエS7は新開発のEV専用プラットフォームを採用。1モーターによる後輪駆動モデルと前後2モーターによる4WDモデルが設定されている。1モーターと2モーターのいずれも操る喜びが追求され、後輪駆動モデルは軽快ですっきりしたハンドリングを実現するという。もう一方の、4輪駆動モデルは高出力でありながらも意のままに操ることができるハンドリングとの両立をそれぞれ目指す構えだ。

キャビンは前後席ともに広く、快適性を確保しながら、AIや各機能と連動してインパネやドア・パネルのLED発光パターンを変えることで、知性を感じられる運転体験の実現が追求されている。

デザインは、各モデルが目指す世界観を反映し、P7はシームレスで洗練されたスマートな未来感を、S7は刺激のあるエモーショナルな未来感をそれぞれ表現したという。両モデルは2024年末以降の発売が予定されている。

中国でのホンダEVの象徴

また、コンセプトカーのイエGTコンセプトは、中国でのホンダEVの象徴になるモデルを目指して開発された。GTの名にふさわしいロー&ワイドなシルエットをはじめ、運転席はレーシング・カーのように運転に没入できる空間が追求された。ダイナミクス性能も徹底的に磨き上げることで、クルマとの一体感のある究極のドライビング体験の提供を目指したという。

助手席にはLCDディスプレイよりも奥行き感があり大画面を見ているような体験ができる遠焦点ディスプレイをホンダ車として初めて採用。プライベート・シアターのような没入感のある空間を享受できるという。なお、イエGTコンセプトをベースとした量産モデルは、イエ・シリーズ第2弾として2025年内の発売が予定されている。

文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)