毎年、ゴールデンウィーク真っ只中の5月1日になると、アイルトン・セナのあのサンマリノ・グランプリの悲劇を思い出す人も多いはず。あれから30年、マクラーレンは、5月26日(日)に決勝を迎える2024年のモナコ・グランプリで、スペシャル・カラーをまとったF1マシン、「MCL38 F1」を走らせるとともに、「マクラーレン・セナ」をベースにしたトリビュート・モデルを公開した。

セナの才能と功績を称える

マクラーレン・セナのトリビュート・モデル、「セナ・センプレ」は、セナの才能やレースでの功績などを称え、マクラーレンのヘリテージ・コレクションの中からプリプロダクション・モデルでロードカーの「マクラーレン・セナ」に、ユニークなハンドペイントが施されている。

ブラジル国旗の色を反映

セナ・センプレのカラーは、マクラーレンとアイルトン・セナ財団とのパートナーシップのひとつとして制作された。カラーリングは、マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)を通じて、マクラーレン・オートモーティブによる独自の塗装技術とクラフトマンシップに加え、セナのF1でのキャリア、完璧を求める粘り強い姿勢、ブラジル人というバックグラウンド、モナコの街並みを含むマクラーレンのレースの歴史などが鮮やかで大胆なカラーと特注のインテリア加工で表現されている。

今回のカラーは、ブラジルの国旗の色が反映されたもので、「MSO」が新たに開発したというウォッシュ・テクニックを使い、鮮やかなイエロー、グリーン、ブルーの色調でコーディネイト。この技法により、ペイントは互いに混色することなく溶け込み、同時にスピード感、波打つ旗の動きが表現できた。この効果は、ノーズのマクラーレン・バッジにも適用されている。

2つの異なるアイルトン・セナを表現

グリーンとホワイトのボーダーラインがグラスハウスを囲み、ウィンドスクリーンの付け根の排気口は、アイルトン・セナの象徴的なレースヘルメットのデザインから着想を得てデザイン。車体側面の大きなエア・インテークを覆うパネルには、2つの異なるアイルトン・セナを表現。ハンドペイントで施され、細部にまで細心の注意が払われたドットマトリックス効果は、遠くから見ても鮮やかに感じられるそうで、サーキット内外で活躍するアイルトン・セナを表している。

また、セナ・センプレには、セナの名前とマクラーレンのバッジとともに、セナのオフィシャル・ロゴマークである「ダブルS」が刻まれた。このロゴは、フロント・クラムシェルに収められた排気口につながるブルーのパネルに配されていて、鮮やかなグリーンのリア・ウイングに描かれたセナの文字を引き立てている。

インテリアには、グリーンのパンチングが施された特注のイエローのアルカンターラで、ステアリング12時の位置には白いマーカーがあしらわれている。ブラックのアルカンターラが配されたドア・シルは、アイルトン・セナのサインとともに、「私にスーパーヒーローはいません 。私が大切にしているのは、仕事、献身さ、そして実力です」とセナの哲学と信念を表す言葉が添えられている。

文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)