2023年は、「生成AI(生成系AI、ジェネレーティブAI)」に関連するトピックが盛り上がった一年でした。一方で、急に多くの話題が展開したこともあって、「ChatGPT(チャットジーピーティ)が流行ったことは知っているけれど、ほかに何があるのかさっぱり……」という人も少なくないはず。

 本稿では、前編に続き、テキストや画像を生成できるサービスを中心に、生成AIに関連するここ1年ほどのトピックを振り返りたいと思います。

●2023年10月〜12月:法規制の話題も出始める

 2023年前半には、生成AIを利用したサービスが急増し、影響力も拡大しました。こうした流れを受け、世界では生成AIに関する法規制に動きが見られました。

 例えば、米国のバイデン大統領は2023年10月末に、「AIの安全、安心、信頼できる開発と利用に関する大統領令(Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence)」に署名。対象となるサービスは、提供される前に安全性の評価を受けることが義務付けられました。

 欧州連合(EU)も2023年12月9日、加盟国、欧州議会、欧州委員会が「AI規制法」と呼ばれる法案について暫定的に合意したと発表しています。ちなみに、規制案自体については2021年から議論されていましたが、2023年に内容が改訂された形です。

●2023年11月:xAI「Grok」の登場

 2023年11月にはイーロン・マスク氏が、同氏が関わるxAI社が開発したAIチャットbot「Grok」のベータ版の提供開始を発表。X(旧Twitter)の有料サービス(16ドル)上で先行アクセスできる状態になりました。

 Grokは、下品な表現や危険な表現などセンシティブな内容も“冗談を交えた”という形式で取り扱えてしまう──という特徴があります。公式サイトには「ユーモアが苦手なら使わないで」との旨を伝える注意書きも書かれています。

●2023年12月:Windowsに生成AIを活用したアシスタントツールが導入される

 12月には、米Microsoft(マイクロソフト)が、同社のAIアシスタントツールを「Microsoft Copilot(コパイロット)」へとリブランディングしました。大規模言語モデルには、OpenAI社のGPTが使われています。

 同サービスは2023年2月に「新しいBing」として発表されてから「Bing Chat(ビングチャット)」に名称を変え、さらに同年12月にCopilotとしてリブランディングされるという変遷をたどっています(ただし、各所の表記に「Bing Chat」としての名称も残っており、ユーザー視点では違いを認識しづらい状況でもあります)。

 Copilotには、(1)Webサービス版、(2)アプリ版、(3)WebブラウザEdge上に組み込まれたもの、(4)OSに組み込まれた「Copilot in Windows(コパイロット イン ウィンドウズ)」、(5)「Microsoft 365」にひも付いた「Copilot for Micosoft 365」――など複数の形態があります。2024年1月には有料サービスの「Copilot Pro」も提供が開始されましたので、こちらも合わせて認識しておきましょう。

 やや全体像を把握しづらいので、ひとまずは「少なくともWindows 11の最新版にすれば、OSの標準機能としてCopilot(コパイロット)というAIチャットボットを利用できる」と理解しておくのがよいでしょう。

●2023年12月:Googleがマルチモーダルの未来を提示

 2023年12月には、米Googleが「Gemini(ジェミニ)」をリリースしました。こちらは「Google I/O」で予告していた“マルチモーダル”な生成AIモデルとなっています。このマルチモーダルとは、AIの文脈では、テキスト、画像、音声など複数の異なる情報を組みあわせて処理する特性を表現する言葉です。

 最初のバージョンである「Gemini 1.0」では、「Ultra/Pro/Nano」という3サイズで提供されていきます。最小サイズの「Gemini Nano」は、Googleが展開するスマートフォンの上位モデル「Pixel 8 Pro」にて利用可能に。中位の「Gemini Pro」は同社のAIチャットbot「Bard」の英語版に搭載されました。

 さらに、2024年1月には、サムスン電子が「Galaxy Unpacked」にて、同社のスマートフォン「Galaxy S24」シリーズで「Gemini Pro」が使えるように展開することを発表しています。

 最大サイズの「Ultra」は2024年に企業やデベロッパー向けに公開される見込みです。

 Googleは2023年12月に、画像生成モデル「Imagen」の新バージョンである「Imagen 2」もリリース。こちらはGoogle Cloudが提供している機械学習プラットフォーム「Vertex AI」にて利用できるようになりました。

 さらに2024年1月には、Googleの研究部門であるGoogle Researchが動画生成AIの「Lumiere」を発表しています。こちらはまだサービスとして公開されたわけではありませんが、公開されたイメージ動画を見る限り、テキストから短い動画を生成したり、静止画の一部を指定してアニメーション化させたりするなど、かなり面白い体験につながる可能性が期待されます。

 2024年も、まだまだ生成AIの話題は尽きそうにありません。ぜひ本稿で紹介したような文脈を押さえつつ、新情報にもアンテナを伸ばしてみてください。