障がい者に対する差別や偏見のない社会の実現に向けて、4月からある法律が施行されました。

福島県内の観光地でも、さっそく障がい者に配慮した取り組みが始まっています。

障がいがある人にも、生きやすい社会の実現に向けて、4月施行した法律が「改正・障害者差別解消法」です。

障がいがある人から困りごとなどについて要望があった場合、店舗などの事業者にその対応が義務付けられるものです。

例えば、飲食店で「車いすのまま席に着きたい」と要望があった場合、店側はテーブルやイスを片づけるなどして、スペースを確保し、その要望に応えることが義務付けられます。

もちろん、事業者にとって「負担が重すぎない範囲」とされてはいますが、障がい者への差別や偏見のない社会づくりに向けて、県内でも動きが進んでいます。

花見客でにぎわう、福島市の花見山公園で、13日に行われたツアー。

ツアーの参加者は、目が見えないなど視覚に障がいのある人たちです。

■福島市観光コンベンション協会 佐藤由香利さん

「去年の秋ぐらいに、視覚障がいの方から「花見山に行きたい」「なにか企画してほしい」というご意見をいただいたことがきっかけで今回企画した」

視覚に障がいがある人にとって、お花見を楽しむことは、簡単なことではありません。

足元が悪かったり、人とぶつかったり…危険や緊張がいつも隣合わせです。

「視覚障がい者に配慮したお花見ツアーがあれば…」そんな要望に応えようと観光協会が企画したのが、このツアー。

ゆっくり安心して歩けるよう、ガイドが寄り添って、ツアー客を案内し、「桃源郷・花見山」の様子を分かりやすく言葉で表現します。

■ツアーガイド

「桜一本だけじゃなくて、色んなお花がある。全体でまるで絵のような雰囲気だっていうのがここ(花見山)の特徴です」

お花見は「見ること」だけが楽しむ方法ではありません。

花の匂いをかぎ、花の形や厚さを触り、ツアー客はお花見を楽しみました。

視覚障がい者にとって、においや感触は、情報を得るために大切な感覚の1つ。

ただ、これまでは、周囲の目もあって、花に近づくことや、触ることをためらう参加者も多かったといいます。

■参加者は

「きょうは案内人がついて「触っていいんだよ」「匂いをかいでいいんだよ」という感覚で安心して、私なりのお花見ができました」

■福島市観光コンベンション協会 佐藤由香利さん

「障がいのある方の声があったとしても、事業者も一緒にコミュニ―ケーションを取り、どうしたらできるか(考える)世の中になっていけばいいのかなということと助け合いの輪が広がっていったらいい」

出来ることから、支え合う。そんな思いが、差別や偏見のない社会にする一歩となりそうです。