老後の資金計画を立てる際、退職金をあてにしているという人も多いのではないでしょうか。退職金も所得なので、受け取る際には所得税がかかります。   ただし、その際には一定の控除があります。この控除額は勤続年数が20年を超えるか超えないかで変わってくるので注意が必要です。   そこで今回は、退職所得や控除額の計算方法について詳しく解説します。

退職所得とは

退職金制度は大きく分けて4種類あります。最も一般的なのは退職一時金制度です。この場合、退職すると一括で退職金が支給されます。そのほかにも、年金として一定期間退職金を給付する確定給付企業年金制度や、企業が積み立てた掛け金を年金資金として運用する企業型確定拠出年金制度、退職した会社ではなく共済機構から退職金が支払われる中小企業退職金共済があります。
 
退職所得とは、会社を退職する際に勤務先から受ける退職手当などの所得のことです。退職所得は会社から支払われる退職金だけでなく、社会保険制度などによって退職に起因して支給される一時金も含まれます。
 
そのため、先述した退職金制度では退職一時金制度の場合と中小企業退職金共済などが退職所得となります。そのほか、加入している保険会社や信託会社などから受け取る退職一時金も退職所得とみなされるので注意が必要です。
 

退職所得や退職所得控除額、所得税額の計算方法

退職金には所得税がかかりますが、退職金として受け取った金額がそのまま退職所得になるわけではありません。退職所得の計算式は「(退職金額−退職所得控除)÷2」です。
 
退職所得控除は勤続年数が20年以下の場合と20年超の場合で異なります。勤続年数が20年以下の場合、計算式は「40万円×勤続年数」です。ただし、その際の金額が80万円に満たない場合、控除額は80万円になります。例えば、勤続年数がちょうど20年だった場合、控除額は「40万円×20年」で800万円となります。
 
一方、勤続年数が20年超の場合の計算式は「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」です。仮に勤続年数が21年であれば「800万円+70万円×(21年−20年)」で870万円になります。21年以上の勤続年数の人は20年以下の人よりも多く控除を受けられるわけです。
 
退職所得の受給に関する申告書を提出しなった場合、退職所得における課税率は20.42%です。この中には所得税率と復興特別所得税率が両方含まれています。仮に退職金が1000万円だった場合、勤続年数が20年の人は「(1000万円−800万円)÷2×20.42%」なので所得税額は20万4200円です。一方、勤続年数が21年の人は「(1000万円−870万円)÷2×20.42%」なので所得税額は13万2730円となります。
 
退職所得における所得税は、あらかじめ「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば源泉徴収されます。そのため、自身で計算して確定申告をする必要はありません。しかし、申告書を提出していない人や何らかの理由によって自身で確定申告する人は、自ら課税額を計算して確定申告書に記載する必要があります。
 
なお、退職金を一時金ではなく年金として受け取る場合は老齢基礎年金や老齢厚生年金と同じく雑所得の扱いです。そして、それらの受給額を合計し、控除額を超えた分に所得税が課税されます。
 

勤続年数が20年を超えると控除額も増える

退職所得における退職所得控除は勤続年数が20年以下の人よりも勤続年数が20年超の人の方がより多くなる仕組みです。退職金が1000万円の場合、勤続年数が20年であれば所得税額は20万4200円ですが、勤続年数が21年の人は13万2730円です。
 
退職金の額が同じでも勤続年数によって所得税額が変わるということをよく理解しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー