AI診断や各種手続きのデジタル化は、さまざまな分野で進歩を続けています。   保険業界でも同様で、各種サイトでのAI診断による保険商品の選定、保険の加入における告知事項の申告や、加入後の住所変更などにおいて、デジタル化が進んでいます。   本記事では、保険業界のデジタル化がもたらすメリット・デメリットを紹介します。

保険業界のデジタル化の現状

金融庁が2022年1月に発表した「生命保険業界における顧客本位の業務運営に向けたデジタル化の推進概況について」より、生命保険会社各社の、各販売チャネルにおけるデジタル化への対応状況についてのアンケート結果をみてみましょう。
 
デジタル化の対応状況について質問されているのは、以下の5つの項目です。


・意向把握
・提案書・設計書の提示や重要事項説明等
・意向確認
・契約の申込
・告知

営業職員チャネルでは、「意向確認」「契約の申込」「告知」について、全ての企業でオンラインでの完結、電子手続きが可能になっています。通信販売チャネルでは、半数以上が各手続きのオンライン完結が可能になっています。
 
代理店(一般代理店・窓販代理店)チャネルでも、多くの企業でオンライン完結の対応が進められており、特に一般代理店チャネルでは、対応可能な会社数が大幅に増加したとされています。このように、保険業界では積極的にデジタル化が進められています。
 

AI診断のメリット

続いては保険加入における、AI診断のメリットをみてみましょう。
 

自分に適した保険を探せる

保険のAI診断では、自分に適した保険が探しやすくなります。保険商品は保障内容や特約などに、各社で大きな違いがあるわけではありませんが、商品ごとに細部や保険料は異なり、自分に必要なものにこだわると選定は難しくなります。
 
しかしAI診断では、自分の意向を反映した上で診断してくれるでしょう。また、営業販売員との対話が必要なく、自分のペースで探すこともできるのもメリットです。
 

保険料が抑えられる可能性あり

保険の加入でAI診断すると、保険料を抑えられる可能性があります。複数社見積もりをして、同じような商品の中から最も安い商品を探すこともできます。
 
商品にもよりますが、健康状態が優良など、各種条件に当てはまることで、保険料が割り引かれる商品があります。それらを診断し、探しだせるAI診断は、大きなメリットがあるといえます。
 

AI診断のデメリットとリスク

AI診断のデメリットやリスクをみてみましょう。
 

商品理解が曖昧・不十分になってしまう可能性

保険商品は聞きなれない用語が多く聞かれます。AI診断では、それらの意味の理解が不十分でも、必要事項を入力することで簡単に診断ができるため、商品理解が曖昧なままで加入し、実際には必要な保障に加入できていない、といった可能性があることがデメリットに挙げられます。
 

相談ができない

保険加入にあたって、専門的な知識を持つ人と相談できないデメリットがあります。
 
特に保険金の支払いの対象・条件などは、約款や重要事項説明書を読んでも理解が難しい場合があり、理解が曖昧なまま加入したことで、実際の保険金支払い場面で条件を満たさず、保険金が支払われないなどのリスクがあります。
 

まとめ

保険業界におけるAI診断、デジタル化のメリット・デメリットを紹介しました。
 
今後もデジタル化は進んでいくことでしょう。便利なことも多くなることは間違いないのですが、自分自身の知識を問われる可能性もあるので、必要な知識をインプットすることも意識しておくとよいでしょう。
 

出典

金融庁 生命保険業界における顧客本位の業務運営に向けたデジタル化の推進概況について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー