老後は、年金だけで暮らせるかどうか不安に感じる人は多いかもしれません。個人年金に加入していない人や預貯金がない人は、定年退職をした後も新たな仕事を探す人は少なくないでしょう。生活費のほかに、けがや病気をした場合の備えも必要です。   今回は、老後の年金受給額が厚生年金と基礎年金をあわせて14万円だった場合の生活費の考え方について解説します。

単身世帯の生活費は1ヶ月で約14万円

総務省統計局がまとめたデータによれば、65歳以上の単身世帯の平均生活費は、消費支出と非消費支出をあわせて14万4747円となっています(2021年時点)。
 
非消費支出とは税金や社会保険料などのことで、自由に使えるわけではないものの必ず必要な出費です。生活費の中で何にどれくらいのお金をかけるかは人それぞれ異なりますが、もっとも差が出やすいのは住居費でしょう。
 
今回参考にしたデータでは、住居費が占める割合は消費支出全体の9.9%です。金額にすると1万3090円ですが、これは賃貸も持ち家も含めた平均の金額になっています。また、夫婦世帯の場合は消費支出と非消費支出をあわせて25万5100円で、住居費の割合は消費支出全体の7.4%です。金額にすると1万6498円になりますが、これも賃貸も持ち家も含めた平均の金額です。
 

働くかどうかの判断は住居がポイント


 
平均を見る限り、単身世帯なら14万円の年金受給額でも暮らすことは可能です。余裕はありませんが、働かずに生活できるギリギリの金額といえます。ただし、先ほど説明した通り、住居が賃貸か持ち家かで状況は大きく変わってきます。
 
持ち家であれば、毎年かかる固定資産税さえ確保できれば問題はありません。考えなければならないのは、賃貸で暮らしている場合です。実際には、広さや築年数、地域などで家賃に差が出ますが、公営住宅にでも入居できない限り、1万円台の家賃を探すのはなかなか難しいでしょう。
 
つまり、持ち家のない人が老後も賃貸物件に住んで14万円の年金だけで生活するためには、家賃が安い公営住宅であることが前提になってきます。そこがクリアできていれば、老後は年金だけでも暮らすことは可能でしょう。持ち家の人も安心はできません。固定資産税を考え、年金でカバーできるかどうか確認しておく必要があります。
 
単身世帯の場合、住居費は9.9%です。この数字を参考に計算し、不足することはないか事前に考えておくと働くべきかどうかが判断できます。
 

働くなら最低でも家賃分程度稼げることが必要

東京23区を例にあげて、単身世帯向けの家賃を見ていくと、安くても7〜8万円程度が相場になっています。単身世帯の場合、14万円の年金だけで生活費をカバーすることは可能ですが、家賃までじゅうぶんに出せる額ではありません。そのため、都心で暮らすなら、最低でも家賃分に相当する8万円程度の収入を得られる仕事が必須です。
 
今現在住んでいる物件がやや高額なら、老後を迎える前に安い物件に引っ越しておくほうがいいでしょう。定年退職をしてからでは、入居条件が厳しくなる場合も出てきます。そうなる前に、少しでも家賃を抑えられる物件に引っ越しておくことも老後の備えになります。
 

老後も働くかどうかの判断は住居次第

単身世帯であれば、14万円の年金でも暮らしていくことは可能です。しかし、賃貸で暮らすことを考えるじゅうぶんなな金額とはいえません。賃貸の物件に住むなら、少しでも安い物件に引っ越しておくほうが無難です。そして、最低でも家賃分をカバーできるだけの収入が得られるようにしておきましょう。
 
持ち家の場合も、固定資産税が高い場合は働くことも視野に入れておくことです。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) II 総世帯及び単身世帯の家計収支
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー