近年、金の価格が急上昇し、過去最高値を更新することが相次いでいます。その理由には、インフレや地政学リスクなどが挙げられますが、具体的には何が金価格を押し上げているのでしょうか?   本記事では、金価格が上昇する代表的な5つの理由について解説します。今後も、金価格が上昇し続ける可能性があるか考えましょう。

金価格は過去最高値を更新

金価格は2020年のコロナショック時に高くなり、その後、ウクライナ侵攻や米国の金融不安を背景に上昇し続けています。
 
2023年5月10日現在では、円安の影響もあり、過去最高値の1グラム=9794円となっています。
 

金価格が値上がりする要因

金は実用的な用途が少なく、産業界での需要も限られています。また、金が価値を持つ主な理由は、人々がそれに価値を見い出しているからです。ここからは、そんな金の価格が上昇する要因を5つ紹介します。
 

インフレ

インフレが進むと、物価上昇により投資家の不安感が高まり、金価格が上昇する傾向があります。例えば、2007年から2008年にかけてのサブプライムローン危機や、2022年からのロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクが高まった際には、金価格が急上昇しました。
 

米ドル価格

金は国際的にドル建てで取引されており、ドル価格が上昇すると日本から見た金価格は上昇することになります。2022年以降、米国は利上げに転じて、日本は金融緩和を継続していることから円安ドル高となりました。その結果、円建ての金価格は最高値付近を推移しています。
 

米国経済

米国の景気動向は、金価格に大きな影響を与えます。例えば、2003年のイラク戦争の際には、米国経済が不安定になり金価格が急上昇しました。一方、米国経済が好調な場合は、株式市場などの投資先に資金が流れやすくなり、金価格が下落する傾向があります。
 

地政学リスク

地政学的なリスクが高まると、金価格が上昇する傾向があります。前述のとおり、2003年のイラク戦争や、2022年のロシアのウクライナ侵攻によって、金価格が急上昇しました。
 

需給バランス

金は限られた資源であるため、需要と供給のバランスが金価格に影響を与えます。
 
例えば、2000年代初頭から中盤にかけては、世界中の中央銀行が金の買い増しを行っており、需要が高まったため金価格が上昇しました。一方、2010年代後半には需要が減少したことで金価格が下落する傾向がありました。
 

まとめ

本記事では、金価格が上昇する代表的な5つの理由について解説しました。
 
今後も、金価格が上昇し続ける可能性があるかどうかは、インフレや地政学リスクなどの要因によって変わってくるでしょう。今後を予想し、インフレや地政学リスクが今後も続く可能性が高いと考える方は、金への投資を検討してみてください。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー