子どもが生まれて間もない人でも仕事復帰して働いているケースは多いでしょう。ただ、そうした人でも会社から残業してほしいと頼まれることがあるかもしれません。   しかし、子どものお迎えや育児などの関係から、残業するのが難しい場合は、会社から残業してほしいと頼まれた際に、残業拒否しても問題ないか気になる人は少なくないでしょう。   本記事では、子どもが生まれて間もない場合、会社からの残業指示を拒否できるか解説するので参考にしてみてください。

労働基準法と育児休業法で残業拒否は認められている

一般的に残業拒否をするためには正当な理由が求められますが、子どもが生まれて間もない場合は残業拒否をしても問題ありません。子どもが小さくて育児が必要なケースでは正当な理由と判断されるのに加えて、労働基準法と育児休業法で認められています。
 
労働基準法第66条では、妊娠・出産をしてから1年未満の人は時間外労働や休日出勤を、使用者が命じることを禁止しているので「残業拒否は可能」です。
 
また、育児休業法第16条の8では「3歳に満たない子を養育する労働者」が請求すれば、事業者は所定労働時間を超えて労働させてはならないと定められています。このように法律面からも一定の条件を満たしていれば、残業拒否するのは認められているのに加えて、使用者や事業主も働かせてはいけないと決められています。
 
妊娠や育児などをしている人は法律で守られており、残業拒否について正当な理由があるので堂々としていて問題ありません。
 

妊娠や育児などを理由とした降格などはマタハラに当たる

妊娠や育児などを理由とした降格などはマタハラ(マタニティハラスメント)に当たり、不利益な取り扱いをした際には違法行為に該当します。
 
具体的な例としては、妊娠を聞く前には契約更新を前提としていたのに妊娠の報告を聞いて契約更新を拒否する、育休や産休を取りたいと相談したら解雇通告されたなどです。不利益な取り扱いについては男女雇用機会均等法第9条3項からしても不当なので、このような対応をした会社は行政指導や事業者名の公表などの対応がされます。
 
原則として、妊娠や出産などの事由の終了から1年以内に不利益な取り扱いがされた場合、妊娠や出産を契機にしていると判断される点は把握しておきましょう。
 

残業拒否を理由に不当な扱いをされたらどうすればいい?

子どもが生まれてから間もないという正当な理由があるにも関わらず、残業拒否を理由に解雇などの不当な扱いをされるのは、社会通念上相当と認められないでしょう。
 
上司の独断などで勧められているケースでは会社の相談窓口に相談して、不当な取り扱いを受けている旨を伝えましょう。それで問題が解決すればいいですが、会社全体が退職勧奨などをしてきていることがあるかもしれません。
 
そのような場合は、労働基準監督署や弁護士に相談して、法的措置も視野に入れた対応が必要になります。自分だけではどのようにして行動すればいいか悩んでしまう場合は、専門家に相談することを検討しましょう。過去には、マタハラなどが原因で解雇された人が、弁護士に依頼して不当解雇を訴えた例もあります。
 

まとめ

子どもが生まれて間もないときは正当な理由として、労働基準法や育児休業法により残業拒否が認められます。しかし、会社によってはそれを契機としてマタハラが発生するかもしれません。そのような事態になった際には労働基準監督署や弁護士などに相談して、自身の立場を守ることが大切です。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
e-Gov法令検索 介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー