正社員と同じような内容の仕事をしているのに、パートタイマーやアルバイトだから待遇が違うとお悩みの方もいるのではないでしょうか。   しかし、正社員との待遇の差を埋める「同一労働同一賃金」という制度があります。 同一労働同一賃金制度を使えば、給料アップが見込めるかもしれません。   そこで今回は、同一労働同一賃金について詳しく解説するとともに、適用されないケースについても詳しくご紹介します。

非正規雇用の割合と推移

総務省統計局の「労働力調査2022年(令和4年)」によると、2022年度の非正規の職員・従業員数は2101万人と26万人の増加となったことが分かりました。
男女別にみても、男性は669万人で16万人の増加、女性で1432万人と10万人の増加となっています。
 
この結果から、非正規雇用は増えていることが分かります。
 
非正規雇用を選ぶ理由としては、「自分の都合のよい時間に働きたいから」と考える方が33.5%(男女計)と最も多い結果でした。
 
「自分の時間を大切に使いたい」と考える方が増え、働き方に対する考え方が変わってきているともいえるでしょう。
 

同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」とは、正社員・パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者にかかわらず、企業や団体内で正社員と同じ仕事をしていれば、同一の賃金を支払うという考え方です。
 
「同一労働」であるかどうかは、業務の内容や責任の程度、職種変更や転勤の有無などが検証されてから決定します。
 
また、不合理な条件の待遇差を埋めるために、ガイドラインには、福利厚生・キャリア形成・能力開発・出産・育休制度・退職金などの待遇についても記載されています。
 
ただし、同一労働同一賃金には企業への法的拘束力があるわけではありません。
そのため、違反しても罪に問われることはありませんが、適用されたにもかかわらず改善が見られない場合は損害賠償請求に発展する可能性があります。
 

同一労働同一賃金が適用されないケース

同一労働同一賃金は、すべての従業員に適用されるわけではありません。
保護の対象としては、以下の労働者です。

●短時間労働者
●有期雇用労働者
●派遣労働者

上記の雇用形態以外、例えば正社員ではない無期雇用のフルタイム労働者などは対象外となります。
 
さらに、労働条件や待遇が不合理であると認められなければ、同一労働同一賃金は適用されない可能性もあります。
正社員と短時間労働者や有期雇用労働者、派遣労働者の間に、業務内容や責任の程度などの違いがある場合には、違いに応じた賃金の支払いが求められるのです。
同一労働同一賃金の制度によって、今よりも給与が上がる可能性はありますが、必ずしも正社員とまったく同じ賃金がもらえるわけではない点に注意しましょう。
 

パートタイマーでも「同一労働同一賃金」で給料アップが目指せる可能性がある

同じような仕事内容をしているのに、給与が正社員とパートタイマーで違っていた場合、不満に思うこともあるかもしれません。また、感情とは関係なく、単純に賃金の低さに苦しむ場合もあるでしょう。本記事で紹介したように、パートタイマーとして働いていても、条件にあっていれば、同一労働同一賃金が実装される可能性があります。パートタイマーで、正社員と同じ内容の仕事をしていて待遇が違うと悩んでいるなら「同一労働同一賃金」について厚生労働省の窓口で相談してみましょう。
 

出典

総務省統計局 労働力調査(詳細集計)2022年(令和4年)平均 第1 雇用者(正規、非正規の職員・従業員の動向など)(1ページ),4 非正規の職員・従業員についた主な理由で最も多いものは、男女共に「自分の都合のよい時間に働きたいから」(男性は12万人の増加、女性は10万人の増加)表2 図3 非正規の職員・従業員についた主な理由別の内訳(2022年平均)及び推移 (3ページ)
厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー