昔は定年後に働かずに年金のみで老後を過ごす人が多かったかもしれませんが、昨今は定年後も定年後も働く人が増え、同じ会社に再雇用されて働く人も多くいます。   再雇用の場合、かつてかわいがっていた部下が上司になるというケースも珍しくありません。しかし、元部下が上司になると、それまでに経験してこなかったしんどさを感じることもあります。詳しく見ていきましょう。

高齢者の就業率は高く、多くの人が同じ会社での再雇用を望む

内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、60〜64歳の73.0%が、65〜69歳の50.8%が、70〜74歳の33.5%が働いています。これらのどの世代においても、10年前よりも就業率は10%以上上昇しており、働く高齢者の割合は近年増え続けています。
 
また、リクルートが2023年の3月にインターネットにて55〜74歳の男女に対して行った、「シニア層の就業実態・意識調査 2023(個人編)」によると、現在の勤め先で定年退職する予定の人で定年後も現在の勤務先で働きたいかの回答は、「ぜひ現在の勤務先で働きたい」あるいは「できれば現在の勤務先で働きたい」という人が合計60.4%です。
 
これら2つのデータから、多くの人は定年後も働き、またこれまでと同じ会社での雇用を希望しているといえます。
 

元部下が上司になるのはつらい時もある

多くの人が同じ会社で働き続けたいと希望していますが、実際に同じ会社で働くと、「今まで部下だった人が上司になる」ということも少なくありません。この状態は口でいうのは簡単ですが、実際にはつらい時もあります。
 
かつては自分が「役職者」で、多くの権限や裁量を持って職場を動かしていたとしても、再雇用後は同じように働ける場合は少ないです。反対に、親しみのある部下が以前の自分のように働いているのを見て、うらやましかったり、なんともいえない気持ちになったりすることもあるかもしれません。
 
元部下が自分と異なる考えを持っていたとしても、現在は上司なので、従わざるを得ないことも考えられます。周囲の自分に対する態度が変わり、「年を取った」と実感することもあるでしょう。
 
また、元部下の方が気を使ったり、どう接したら良いのか分からなくなったりする可能性もあります。
 

再雇用にはメリットも多い

再雇用するとこのようにつらい経験をする可能性はありますが、メリットももちろんあります。再雇用の1番のメリットは、慣れた環境で働けることです。今までと同じように通勤することができますし、仕事自体も慣れ親しんだものでしょう。
 
別の会社で働く場合、当然ですが新しい就職先を探す必要があります。就職活動は時間や手間がかかりますが、再雇用であればその手間も省けるでしょう。
 

別の会社に再就職する場合でもいいところはある

同じ会社への再雇用にもメリットがあるように、別の会社に再就職をした場合でも良い点はあります。
 
再就職の場合、今までとは環境が一変します。仕事のやり方や人間関係、必要なスキルが変わりますので、今までの職場に不満があった場合には、新たな気持ちでリスタートが可能です。
 
興味があったものの、なかなかチャレンジできなかった業界に再就職できれば、第2の仕事人生の始まりとして、前向きに働けることもあるでしょう。
 

まとめ

定年後も同じ会社で再雇用となると、元部下が上司になることもあります。気心が知れた関係でやりやすいという場合もありますが、知っている中だからこそ、働きづらいということも考えられます。
 
とはいえ、多少気まずい点があったとしても、再雇用のメリットも大きいです。
 
再雇用と再就職はどちらの方が優れているということはありません。それぞれのメリット・デメリットを考慮し、自分の今後の人生において望ましい方を選択しましょう。
 

出典

内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)1 就業・所得
株式会社リクルート ジョブズリサーチセンター 【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査 2023― 個人編 60〜74歳 ―
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー