トイレを使っても、「水道代がもったいない」と言って小便のときには水を流さない。 そんな家族の行動に「本当に節約になっているの?」と疑問を感じる人もいるのではないでしょうか。   たしかに、トイレは流すたびに多くの水を消費します。 流す回数や量を減らすことで、節約効果があるのではないかと考えるのも当然のこと。 しかし、実際はどうなのでしょうか。   今回は、トイレを流す回数を減らした場合の節約効果、デメリット、そして効果の高い節約方法をお伝えします。

トイレを1日3回流す場合、1ヶ月の料金はいくら?

トイレの洗浄に使う1回当たりの水量は、大の設定で約8リットル、小の設定で約6リットルです。
(節水機能の高いトイレではこれより少ない場合もあります。)
 
大の設定で1日3回流す場合、使用する水の量は
 
3(回)×8(リットル)=24(リットル)となります。
 
1ヶ月当たりの使用量を計算すると、
 
24(リットル)×30(日)=720(リットル)です。
 
東京都水道局の試算によれば、1リットル当たりの水道料金は0.24円です。
この値を前述の720リットルとかけ算してみましょう。
 
720(リットル)×0.24(円)=172.8(円)
 
つまり、トイレを流す回数を1日3回に抑えた場合、1ヶ月にかかる水道代は約173円となります。
 

毎回水を流した場合と比べると?

一般的に排尿の回数は1日に5〜7回くらい(昼間の排尿の間隔が約3〜5時間)が正常といわれています。
 
トイレのたびに水を流した場合、水道代はいくらかかるのでしょうか。
 
表1

流す回数(1日当たり) 水道代(一人・1ヶ月当たり)
流す回数を減らした場合 3回 173円
毎回水を流した場合 7回 317円

※筆者作成

1日6回小便、1回大便でトイレを使用した場合で試算すると、
 
{6(回)×6(リットル)+1(回)×8(リットル)}×30(日)×0.24(円)=316.8(円)
 
一人当たり1ヶ月に約317円かかると分かります。
つまり、トイレを流す回数を1日3回に抑えた場合、
 
317(円)−173(円)=144(円)
 
1ヶ月当たり144円節約していることになります。
 

トイレを流す回数を減らす場合のデメリット

トイレを流す回数を減らすことには、いくつかのデメリットが存在するのです。
 
まず、トイレの臭いです。
通常、流すことによって排泄物を素早く排除し、臭いを抑えることができますが、流す回数が少ないと臭いのもととなる細菌が繁殖しやすくなり、不快な臭いが増します。
 
次に、掃除の手間が増える点です。
汚れが蓄積すると、通常よりも頑固な汚れが便器にこびりつき、掃除が一層困難になるでしょう。
 
さらに、便器が詰まりやすくなるリスクも高まります。
排泄物が長時間便器内に留まることで、排水管への負担が大きくなり、詰まりを引き起こす原因となることがあります。
 
これらのデメリットに対して、臭いを抑えるためには定期的な掃除を行い、詰まりを防ぐためには定期的なメンテナンスが不可欠です。
 

トイレの水道料金を節約!おすすめの方法

ここまで見てきたように、トイレを流す回数を減らすのはおすすめできません。
水道料金を節約したいときは、以下の方法がおすすめです。
 

レバーの大小を使い分ける

前述のように、大のレバーでは約8リットル、小のレバーでは約6リットルの水を消費します。
つまり、大と小のレバーでは約2リットルの差があるのです。
金額に換算すると約0.48円。
とても小さな額ではありますが、「ちりも積もれば山となる」です。
 
男性の小便の回数を1日6回とすると、年間で小レバーを使う回数は
 
6(回)×365(日)=2190(回)
 
これに上述の0.48円をかけると、1051.2円となり、年間で1000円以上の差となります。
 
男性が小便をする場合、トイレットペーパーを使わない人が圧倒的のはず。
環境のためにも、小レバーで流すことを習慣化しましょう。
 
逆に大便で使用する場合やトイレットペーパーを使った場合にも毎回小レバーで流していると、詰まりのもととなります。
大小のレバーを賢く使い分けるのが大事です。
 

お風呂の残り湯を活用する

トイレのタンクにお風呂の残り湯を入れて流せば、水道代はかかりません。
残り湯の有効活用もでき、環境にも優しいですね。
 
お風呂の残り湯をトイレに使う場合は、以下の手順で行います。

1.トイレの止水栓を閉める
2.タンクの中に水がたまっていないことを確かめてから、タンクにお風呂の残り湯を入れる
3.レバーを使って水を流す

この方法では、タンク内の水が減るたびに給水が必要となります。
また、トイレの手洗いは使用できません。
少し面倒ですが、この方法を身に付けておくと、災害や工事で水道が使えないときにも役立ちます。
 

トイレを流す回数を抑えるとさまざまなデメリットも。もっと賢い節約方法にトライしよう

トイレを流す回数を減らすと、デメリットが多く、その割に節約効果はあまり高くありません。
人間にとって排泄はとても大切な営み。
気持ちよくトイレを使いながら、賢く水を節約しましょう。
そのためには、家族で話し合い、できるだけお互いにストレスが少ない方法を選ぶのが大切です。
 

出典

東京都水道局 水道料金・下水道料金の計算方法(23区)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー