近年政府が副業を推進し始めたことをきっかけに、企業でも副業を解禁する動きが見られています。副業の種類は多岐にわたりますが、収入によっては副業と判断するのが難しいグレーゾーンである場合もあります。   そこで今回は、ハンドメイド作品をフリマサイトで販売する行為が副業にあたるのかについて解説します。

ハンドメイド作品の販売は副業

結論から申し上げますと、ハンドメイド作品の販売は副業とみなされる可能性があります。ハンドメイド作品の販売はいわゆる「事業所得」であり、立派な収入の1つであるため、副業とみなされるでしょう。
 
そのため、会社で副業が禁止されているにもかかわらず副業を行っていた場合、懲戒処分やなんらかのペナルティーが課せられる可能性があります。
 
ただし、会社によっては一部副業を認可する、または許可を得ていれば副業してもよい場合もあります。今の副収入が副業に該当するかどうかは、所属する会社の就業規約を確認しましょう。
 

住民税でバレる

「副業は意外とバレない」との意見もありますが、実際には住民税の金額でバレることがほとんどです。会社員の住民税は、ほとんどの場合「特別徴収」と呼ばれる区分が採用されており、会社の給与に応じて自動的に支払われます。
 
このときに、副収入があるとその分住民税が上がるため、その差額で会社にバレてしまいます。そのため、事前に許可を取るか申告して会社に対応してもらうほうがよいでしょう。
 

納税の基準は自治体による

住民税は、稼いだ金額が一定以上の場合に課せられます。たとえ副業の収入が1万円だったとしても、年収の合計がお住まい地域の定める金額を超えた場合は納めなければなりません。もし住民税を納めないまま放置すると「申告漏れ」に該当し、本来の住民税額より高い税金を支払う必要が生じます。
 

収入の振込先がパートナーの口座でもダメ

副業をしている方のなかには、副業の給与や収益を自分の口座ではなく、生計を共にするパートナーの口座に入れるケースがあります。この場合、副収入はパートナーの所得としてカウントされるように見えますが、実際には本人の所得です。
 
国税庁の定める法第12条「親族間における事業主の判定」によると「生計を一にしている親族間における事業の事業主がだれであるかの判定をする場合には、その事業の経営方針の決定につき支配的影響力を有すると認められる者が当該事業の事業主に該当するものと推定する」と明記されています。
 
つまり、収入の発生源が本人ならば、収入の振込先にかかわらず本人の所得とみなされるのです。
 

副業と副収入の境界

今やっているビジネスが副業かどうか、気になる方も多いでしょう。そこで、副業禁止の規約に触れないための副業と副収入の主な違いについて解説します。
 

副業にあたる行為

副業は法的な定義がはっきりと存在せず、その認識は曖昧です。一般的には、勤務先以外から給与または事業収入を獲得することを指すようです。例えば、会社員が休日を使ってカラオケボックスでアルバイトをすれば、副業とみなされる可能性は高いといえます。
 
一方自分で物を売って得た事業所得は、営利目的(利益の獲得を目的とした行為)かどうかで扱いが異なります。例えば、家にある不要なカメラをフリマアプリで売った場合、不用品の処分にあたるため、営利目的とはいえません。
 
しかし、ハンドメイド作品の販売は、同じフリマアプリを使ったとしても営利目的とみなされるでしょう。副業とみなされる行為は、主に給与所得や営利目的の事業所得が該当しやすいといえます。
 

副収入にあたる行為

不用品の売却のように、副収入のなかでも副業とみなされにくいジャンルがあります。例えば、投資は副業ではなく「資産運用」に該当するため、原則として副業にあてはまりません。
 
またポイントサイトを活用して割引やサービスを受ける「ポイ活」も、直接金銭を受け取っていないため副業に該当しません。商品をもらえるアンケートサービスや懸賞も副業には該当しないでしょう。
 

副業をしたいなら会社から許可をもらおう

副業は法的な定義がないため、その認識にはグレーゾーンがあります。しかし、就業規則で禁止されている場合には、給与所得や営利目的の事業所得が発生しないよう注意しなければなりません。
 
どうしてもハンドメイド品を売りたい場合は、会社の上司や経理に相談するとよいでしょう。
 

出典

国税庁 法第12条《実質所得者課税の原則》関係
厚生労働省 営利を目的としないとありますが、具体的に教えてください。
大阪府 個人住民税の特別徴収について
習志野市 特別徴収・普通徴収とは何ですか。
国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)
江戸川区 住民税について(概要・課税される人、課税されない人)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー