定年後の働き方の一つとして、嘱託社員が注目されています。嘱託社員として働くと、定年前より給料が減る可能性がありますが、趣味や家族との時間を確保しやすくなります。   しかし、嘱託社員に興味があっても、社会保険への加入や有給休暇の取得が可能かどうか疑問に思う方もいるでしょう。本記事では、嘱託社員のメリットやデメリット、社会保険や有給について詳しく解説します。嘱託社員として働くことに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

嘱託社員(嘱託職員)とは

嘱託(しょくたく)社員とは、企業と有期雇用契約を結び、非正規雇用労働者として働く社員のことです。非正規雇用ということもあり、仕事の内容や時間、裁量権などが限定されていることが一般的です。
 
しかし、労働基準法などに嘱託社員に関する具体的な定義はないため、企業によってその位置づけは異なります。通常、嘱託社員の雇用期間は最長で3年ですが、労働基準法第十四条により、以下のいずれかに該当する場合は最長で5年まで雇用契約を結ぶことが可能です。


・専門的な知識や技術、経験が必要な仕事に就く場合
・満60歳以上の場合

定年後の再雇用でも社会保険に加入できる

定年後に嘱託社員として再雇用された場合でも、社会保険の加入条件を満たしていれば、加入することが可能です。社会保険の加入条件は、以下のとおりです。


・1週間の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8万8000円以上
・雇用期間が2ヶ月超
・学生ではない
・企業の従業員数が101人以上

加入条件を満たしているか確認してみましょう。
 

有給も取得可能

嘱託社員も有給休暇を取得することができます。労働基準法第三十九条では、雇用形態に関係なく、以下の条件を満たすと有給休暇を取得できるよう定められています。


・雇用された日から6ヶ月以上経過している
・上記期間の8割以上出勤している

また、定年後に嘱託社員として再雇用される場合、継続勤務として扱われるため、再雇用前の勤続年数も通算して有給休暇が付与されます。
 

嘱託社員として働くメリット

定年後に嘱託社員として働くメリットは、以下のとおりです。


・定年後も一定の収入を得られる
・勤務時間や日数に融通が利く
・専門的な知識やノウハウを生かせる
・社内のことを理解しているので働きやすい

嘱託社員として働くことで、定年後も毎月一定の収入を確保できます。定年前の収入に比べると少なくなる可能性がありますが、貴重な収入源となり得ます。
 
さらに、正社員と比べて勤務日数や勤務時間が短くなるため、プライベートの時間を十分に確保することが可能です。趣味や家族との時間を大切にすることができます。
 
また、勤務先や仕事内容が定年前と大きく変わらず、これまでの知識や経験を生かすことができます。新しい仕事を覚える必要がないため、スムーズに業務に取り組むことが可能です。
 
社内の人間関係や仕事の進め方、社風にも慣れているため、働きやすい環境が整っていることもメリットです。
 

嘱託社員として働くデメリット

定年後に嘱託社員として働くデメリットは、以下のとおりです。


・雇用期間が限られる
・給料が下がる
・役職が外れる場合がある

嘱託社員は、企業と有期雇用契約を結ぶため、雇用期間が限定されます。雇用期間は、通常は最長で3年ですが、一定の条件を満たす場合は5年まで契約が可能です。ただし、契約の更新は保証されていません。また、非正規雇用労働者として働くため、給料が定年前よりも低くなる可能性が高いです。
 
さらに、定年前は役職に就いていた場合でも、嘱託社員として働くことで役職から離れることがあります。嘱託社員として働く場合は、これらのデメリットを理解しておくことが重要です。
 

定年後の嘱託社員は社会保険や有給がある! 自分に合った働き方か慎重に判断することも大事

定年後に嘱託社員として働く場合、社会保険への加入や有給休暇の取得が可能です。給料は定年前と比べて減る可能性がありますが、勤務時間や日数に融通が利くため、趣味や家族との時間を大切にできます。
 
ただし、嘱託社員だけでなく、さまざまな働き方を比較して、自分に最適な働き方を慎重に選ぶことが大切です。嘱託社員を含め、さまざまな選択肢を検討してみましょう。
 

出典

労働基準法
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー