近年、マラソンブームの影響もあり、駅伝や陸上競技に注目が集まっています。その中でも、実業団ランナーとして活躍する選手たちは、その華麗な走りで多くの人々を魅了しています。しかし、気になるのは彼らの年収です。一般の会社員と比べて、どれくらい稼いでいるのでしょうか。   そこで、一般の会社員と比べて、どれくらい稼いでいるのかなどを紹介していきます。

実業団ランナーの収入源

実業団ランナーの収入は以下から成り立っています。
 
・社員としての給与
実業団ランナーは所属している企業の社員として働きながら、陸上選手としても活動します。毎月企業から給与を受け取りますが、おおむね一般的な正社員と同程度の年収で、給与形態は変わりません。
 
・陸上手当
陸上選手としての活動に対して得る手当てで、大会での成績や活動によって変動します。大きな大会で上位入賞すれば、数十万円の報奨金が出ることもあります。
 

実業団ランナーと一般会社員との比較

実業団ランナーを含め、競技者としては20代〜30代で引退を迎える人が多いようです。2014年に笹川スポーツ財団が実施した調査によれば、現役引退の平均年齢は29.9歳でした。この年齢層の実業団ランナーと一般の会社員の年収は、給与形態は変わらないことからおおむね一致すると考えられます。
国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査では、年齢階層ごとの平均年収は以下の通りです。

●20〜24歳:273万円
●25〜29歳:389万円
●30〜34歳:425万円
●35〜39歳:462万円

これらの数値は、それぞれの年齢層で働く人々の平均的な年収を示しています。
 

実業団ランナーの平均年収は企業の基本給+競技手当て

企業に属している実業団ランナーは一般社員と同程度の給与を受け取りますが、競技手当てがプラスされます。さらに大きな大会で上位入賞すれば、報奨金が出ることもあります。
例えば、毎年1月1日に開催される、日本実業団陸上競技連合主催の「ニューイヤー駅伝」は、駅伝ファンにとって新年最初のビッグイベントです。
この大会では、優勝チームには主催者からの賞金に加え、大会スポンサーである山崎製パンから賞金と食パン・菓子パンなどの製品3000個相当が贈呈されます。ちなみに、具体的な賞金額は公表されていません。
もし賞金を獲得できるほどの選手であれば、同年代の会社員よりも年収は高いといえるでしょう。
 

実業団ランナーの収入は個人差がある

東京五輪マラソン強化を目的として、日本実業団陸上競技連合は2015年に1億円ボーナス制度を開始しました。日本記録樹立者に1億円を贈呈するという破格の制度は大きな話題を集め、実際に設楽悠太さん(ホンダ)が1度、大迫傑さん(ナイキ)が2度、1億円を獲得し日本記録更新に大きく貢献しました。
その結果、基金が不足したこともあり2020年に制度は終了しました。これは、実業団ランナーの収入に個人差がある一例であり、選手の成績や記録によって大きく変動することを示しています。
 

実業団ランナーの仕事内容

実業団ランナーの仕事内容は大会に出場してよい成績を収めることです。通常業務はほとんどしない場合もあり、走ることが仕事です。
 
中には一般的な社員と同じように配属先で業務を任される人もいますが、業務時間は短く、通常は午前中に業務を行って午後から練習をします。具体的な仕事内容は個々の選手や企業によりますので、一概にはいえません。また大会が近づくと業務の免除もあります。
 

実業団ランナーの年収は一般の会社員と同程度か少し高い程度

実業団ランナーの年収は、一般の会社員と比較して、かなり個人や所属する団体によって異なります。一般的には、プロのランナーなどトップ選手になれば、賞金やスポンサー契約などの収入源があり、一般の会社員よりも高い収入を得ることができます。しかし、実業団ランナーの場合、年収は一般の会社員と同程度か多少高い程度です。実業団によっても支給される給与や福利厚生などが異なります。
 
けがのリスクを負いながら夢を追いかける選手たちの姿は多くの人々に感動を与えます。実業団ランナーは、華やかなイメージとは裏腹に、厳しい現実にも向き合っていることを忘れてはいけません。
 

出典

笹川スポーツ財団 オリンピアンのキャリアに関する実態調査
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー