会社員として働く上で、賞与を楽しみにしているという人は多いのではないでしょうか。ボーナスは普段の給与とは別に支給される臨時収入なので、労働者にとってモチベーションの1つとなるでしょう。   ただし、賞与は企業に支払いが義務付けられているわけではありません。金額は少額だったとしても、また賞与が支払われなかったとしても違法ではありません。   本記事では、決算賞与が思ったよりも安く衝撃を受けた人の悩みを紹介します。

賞与の支給は義務ではない! まずは賞与規定を確認しよう

「昨年度末に決算賞与がもらえると聞いて喜んでいたのですが、支給されたのは5000円でした。業績好調と聞いていたので、10万円くらいもらえると思っていたのですが……」と悩むFさん。
 
Fさんの会社では業績に応じて賞与が支給される規則となっており、昨年度は業績が好調だったようです。年度末の3月に決算賞与が支給されることになり喜んでいましたが、支給額が5000円で衝撃を受けたそうです。
 
「決算賞与なので、業績が悪ければもらえないのは理解しています。ただ、業績が好調だったのに見返りが少なすぎる……」とFさんは不満を抱えています。
 
厚生労働省によると、賞与は「定期又は臨時に労働者の勤務成績、経営状態等に応じて支給され、その額があらかじめ確定されていないもの」です。つまり、支給の有無や支給する金額が決まっていない以上、賞与額が少額でも違法ではありません。
 
賞与の規定について、すべての企業が就業規則において詳細に規定しているとは限りません。「業績や勤務成績によっては賞与を支給しない」「賞与は業績次第」など、抽象的な規則を設けている企業も存在します。
 
賞与の支給は企業の義務ではないという前提を理解し、勤務先の就業規則でどのような記載がされているか確認しましょう。
 

決算賞与が少なすぎる会社に居続けた方がいいの?

Fさんが今回の一件を受けて「よりよい条件で働ける企業に転職したい」と感じたら、転職活動を行うのもよいでしょう。ただし、単に「決算賞与が低額だったから」という狭い視野で転職活動を行うのではなく、基本給や諸手当、インセンティブの有無など給料を俯瞰(ふかん)的に確認する必要があります。
 
例えば、毎年賞与を2回支給してくれる企業があったとしても、基本給を低く抑えているケースがあり得ます。業績が芳しくないにもかかわらず賞与を支給している企業は、人件費負担が重くなり経営基盤が弱体化しかねません。
 
また、現在の勤務先が将来有望なビジネスに事業投資するために賞与支給額を抑えた場合は、将来性も加味する必要があるでしょう。もし事業投資が成功して事業が軌道に乗れば、現在のベースとなる基本給がアップするかもしれません。企業が成熟期に入ると、安定的にボーナスが支給される可能性も考えられるでしょう。
 
一方で、投資すべき事業がないにも関わらず、単に人件費を抑えるために賞与額を抑えている場合は前向きに転職を検討すべきでしょう。
 
利益を従業員に還元せず、従業員を大切にする姿勢を示さない企業からは、優秀な人材が流出しかねません。その結果、人材不足や生産性の低下により業績が悪化する悪循環に陥る可能性が考えられます。
 
このように、現在の勤務先の将来性や事業展開などを幅広い視野から考えたうえで、転職すべきか考えることが大切です。
 

まとめ

業績が順調であるにもかかわらず決算賞与が少額だと、働くモチベーションを失ってしまうのも無理はありません。今後も改善の見込みがない場合は、転職も1つの選択肢として視野に入れるべきでしょう。
 
ただし、賞与の支給は企業にとって義務ではありません。転職をする場合でも、基本給や諸手当、福利厚生をはじめとしたさまざまな要素を勘案すべきです。あわせて、勤務先の将来性についてもイメージして、今後も勤務すべきか考えることが大切です。
 

出典

厚生労働省 令和4年就労条件総合調査 主な用語の定義
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー