孫正義(そん・まさよし)さんを知らない人は少ないでしょう。1957年8月11日に生まれ、一代で巨大企業「ソフトバンクグループ」を築き上げました。

それだけ成功したとなると、どれくらいのお金を持っているか、どうしても気になってしまいますね。今日はソフトバンクグループのリリースなどから、孫正義さんの資産額を調べてみましょう。

配当だけで年収200億円超!

ソフトバンクグループによると、孫正義さんはソフトバンクグループ株式全体の27.94%、実に4億6016.1万株を保有しています(2022年3月末時点)。同株式の終値は2022年8月2日で5450円であることから、孫正義さんはソフトバンクグループ株式だけで2.5兆円を超える資産を持っていることになります。

巨大企業オーナーの財力は圧巻ですね。ちなみに孫正義さんは、フォーブスの世界長者番付(2022年)でも74位にランクインしました。

【ソフトバンクグループの株価推移(月足、2020年1月〜2022年7月)】

Investing.comより著者作成

これだけの株数となると、配当収入も並ではありません。ソフトバンクグループは2022年3月期に44円の配当金を支払いました。孫正義さんの保有株数に当てはめると、約202.47億円にもなります。当然配当以外にも収入があることから、それらを含めた年収はさらに大きくなるでしょう。

【ソフトバンクグループの業績】

出所:ソフトバンクグループ 2022年3月期決算短信

ソフトバンクが投資する「未上場株」とは

ソフトバンクグループはもともとM&Aに積極的で、これまで多くの企業に出資してきました。2016年には10兆円規模の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の設立を発表し、投資会社の色を強めます。投資事業は2022年3月期に3兆4347円もの巨額損失を計上しますが、それを差し引いても累計利益は3兆473億円あり、これまでグループの成長をけん引してきました。

出所:ソフトバンクグループ 2022年3月期 決算説明資料

ソフトバンクグループにおける投資収益の源泉は、多くの未上場株式です。半導体設計の「アーム」や自動配達ロボットの「ニューロ」など、上場こそしていないものの有望な企業をこれまで数多く抱えてきました。

未上場株式とは、その名の通り上場していない株式のことです。私たちは基本的に上場株式にしか投資できないため、なじみのない人の方が多いでしょう。

そもそも、企業は上場していないことが一般的です。国税庁の「会社標本調査(2020年度)」によると、国内には280万4371社の法人がありますが、上場企業は3769社しかありません(2022年8月2日時点。プロ向け市場および外国会社を除く)。これを単純に考えると、数が多い未上場株式の方が投資しやすいようにも思えますね。

出所:日本取引所グループ 上場会社数・上場株式数

しかし、未上場企業は基本的に株式の譲渡を制限しています。つまり、投資したい未上場企業を見つけても、その株式を取得することは原則できません。その未上場企業と交渉の末、株主総会や取締役会の承認を受ければ取得できる可能性はありますが、多くの人にとって現実的ではないでしょう。このような事情があるため、未上場株式には基本的に投資できないのです。

もっとも、最近はクラウドファンディングや専用ファンドを通じ、未上場株式に投資できる機会が増えてきました。未上場株式に投資したい人はこれらのサービスを利用してみてはいかがでしょうか。ただし、未上場株式は上場株式よりも一般的にリスクが高いため、投資の際は注意してください。

ソフトバンクが「親子上場」する理由

ソフトバンクグループは2018年12月、通信事業を手掛ける子会社「ソフトバンク」を上場させました。それまでソフトバンクグループはソフトバンク株式の99.9%を保有していましたが、上場に際し保有割合が63.1%になるまで売り出しました。その後追加の売り出しを実施しますが、いまだソフトバンクグループはソフトバンク株式の40.68%を握る筆頭株主です。このように、親会社と子会社が同時に上場しているケースを「親子上場」といいます。

上場当時、ソフトバンクの業績はおおむね好調でした。同社の2019年3月期における売上高は3兆7463.05億円、純利益は4307.77億円を計上しています。

出所:ソフトバンク 2019年3月期決算短信

毎年安定的な収益を稼ぐソフトバンクを売り出す必要はなさそうですが、なぜソフトバンクグループは親子上場を選んだのでしょうか。

理由の1つは資金調達にあると考えられています。ソフトバンクグループは、ソフトバンクの売り出しで約2.6兆円の資金を手にしました。このように、親会社は子会社を新規上場させることで資金調達できるメリットがあります。

一方で、親子上場は、親会社の支配が残ったまま子会社を上場させる方法であり、子会社の少数株主の利益が阻害されるという指摘がなされてきました。ソフトバンクのケースも、ソフトバンクグループが4割以上の株式を保有することから、他の株主の意見が反映されやすいとは言い難い状況です。

日本は他国と比較し親子上場の例が多く、政府は親子上場の解消を促しています。今後は親子上場解消の波が到来するかもしれません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。