「美人証明の日」は、2006年12月2日に、栃木県足利市の厳島神社に美人弁天が建てられたことに由来する。心の優しい美人弁天と「美人の国・足利」のアピールを目的として、この記念日が制定された。当神社は「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」という神様を祭るが、参拝者には心優しく品性ある美人であることを証明する「美人証明」が無料で配布される。

内面の充実からにじみ出る美しさ

心身ともに健康で自然な美しさが漂い、肌の色つやも良くほほ笑みが絶えない――美しい女性とは、そのような人ではなかろうか。表面的な顔立ちだけで美しさが定義されるものではないだろう。上述した足利市・厳島神社の「美人証明」も、そうしたあり方を願っているようだ。

話していてこちらの気持ちが和むような女性がいる。いわゆる表情美人といわれる、一緒にいるだけで心を弾ませてくれるような表情豊かな人だ。人を思いやる心が表情やしぐさに表れている。

筆者が20代の頃、しぐさも表情もかわいい50代の女性に遭遇したことがある。彼女は生命保険のセールスマンで、日頃の販売の苦労も感じさせず笑顔を絶やさない人だった。聞けば、多人数きょうだいの末っ子だという。おそらく、両親やきょうだいの温かい愛情のもとで育ったのであろう。30歳も年下の筆者が、かわいい人だと思わざるを得ない魅力的な人だった。

また、その人柄で周囲を引きつけてやまない女性がいた。生保セールスマンの指導者であったが、その採用面接にあたり、当人が語った言葉が印象的だった。「一つひとつの現象や事柄に各人各様の反応があり、人間ほどに興味をそそられる対象はなく、人間が大好きです。そして、部下からも学びたい」。販売力もさることながら人間的にも優れ指導者にふさわしく、夫の転勤に伴い転居してきたセールスマンがいるとの話を聞き面接したが、この言葉に採用を即決した。

難攻不落といわれた企業に新人を同行しながら販売実績を確実に上げる。訪問先での顧客からの反応も良く、若者からは人生相談までされるほどに信頼される。誰もが育成困難と見限るような新人でも諦めずに育て上げる。果たして、彼女は大きな右腕になってくれた。そして、人間を信頼することで自然とにじみ出る笑顔は、多くの人を魅了したものだ。

他にも、外資系の企業に勤務歴があり、中高年を迎えてからは市の国際交流活動に長年従事する女性がいる。高齢になってからも英語熱が冷めることはなく、70歳で英検1級を取得し、さらに翌年には通訳案内士の資格に合格して活躍する。「ストレスは複数ある方が良い」と語るほどに全てに積極的で、テニスや歌など活動範囲は広い。目標を持ち続ける人の輝かしさを感じさせてくれる人だ。70歳半ばを過ぎた今でも、ある美人女優をほうふつとさせる輝きを失わず、少なくとも10歳以上は若く見える。

美への探求は女性に限らない!

男性にも、笑顔で人を魅了する人がいる。かつて生命保険業界で屈指のセールスマンとして生命保険販売員の地位向上にも努力した、原一平という人物だ。政治経済の動きをくまなく追い続けるなど自己研さんを絶やさず、周到な訪問スケジュールで各業界の経営幹部を中心に絶大な販売業績を残した。

学生時代の下宿先が近所だったこともあり、従業員たちに見送られながら日々運転手付きの高級外車に乗って出かける同氏の姿をよく見た。近隣でも注目される話題の人だった。海外からも高く評価され、国際アメリカン協会からアカデミー賞およびフェローシップ賞を受賞した。さらに勲四等旭日小授賞を受賞するなど、80歳までの生涯を生命保険の販売にささげた。

その原一平氏は、セールスマンとしての第一印象の大切さを自覚し、良好な印象づくりのため、笑顔の練習を鏡の前で毎日実施したとされる。良い笑顔は左右対称であるべきだというのが信条で、ゆがみが出ない、左右が対称となる美しい笑顔づくりに努力したとされる。笑顔でいれば自然と心も明るくなるという「アウトサイド・イン」の心理効用を活用して、顧客の心を開いていったようだ。

登山家・三浦雄一郎の父親である三浦敬三氏は、100歳を迎えるときでも若々しい表情だった。百面相といわれる顔を各方面に動かす運動で顔の老化を遅らせたそうだ。周囲から若いといわれることで内なる力をみなぎらせる効果まであったのか、100歳になってもプロスキーヤーとして活躍する姿は印象的だった。

昨今は、男性化粧品を使用する人も増えたようだ。ましてや女性は進化したメイク技術やウィッグなどを活用し、若返りして驚かされる人がいる。ただ、メイクが均一化されているのか、同じような顔に見えてしまうことも少なくない。それだけに、内面から醸し出される表情やしぐさなどの美しさがより大切なものに感じられる。

美しさを巡る数々の名言

古今東西、美しさを求める言葉には事欠かない。

アメリカの女優、アン・ハサウェイは「どんな時でも楽しく笑える人。そういう女性が美しいと私は思います」と語る。オードリー・ヘプバーンは「いつも笑顔の子が一番美しい」という言葉を残した。笑う門に福来るという言葉があるが、まずは笑顔でいることが欠かせないようだ。

瀬戸内寂聴は「人に憎しみを持たないようにすると、必ずきれいになりますよ」と語った。フジコ・ヘミングは「どんなに教養があって立派な人でも、心に傷がない人には魅力がない。他人の痛みが分からないから」という。イタリアの女優、ソフィア・ローレンは「美しさは、内からみなぎり、目からあふれるもの。外見だけの話じゃないの」とする。人生経験や生活上の辛苦も人間の幅を広くし、魅力的にするのだろう。

樹木希林は「(美しさや醜さについて)それはその人から見て、美しければ美しく、醜ければ醜い。だってあんなに顔を引っ張ってしわを伸ばしたって、その人は『美しい』と思ってやっているけど、『変なの』って思う人もいるし……」と、自然体での美しさを強調する。

オスカーを4度受賞したキャサリン・ヘプバーンは、「美人でない女性の方が美しい女性より男性についてよく知っている」という言葉を残す。自信があり過ぎる人よりやや劣る人の方が、物事の本質を捉えられるのかもしれない。そして何事につけ努力する度合いも厚くなるのではなかろうか。結局、そういう人の方が幸せな人生を引き寄せるような気もする。

執筆/大川洋三

慶應義塾大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)に入社。 企業保険制度設計部長等を歴任ののち、2004年から13年間にわたり東北福祉大学の特任教授(証券論等)。確定拠出年金教育協会・研究員。経済ジャーナリスト。著書・訳書に『アメリカを視点にした世界の年金・投資の動向』など。ブログで「アメリカ年金(401k・投資)ウォーク」を連載中。