株式投資で安易に信用取引に手を出すと、大損してしまうことがあります。中には「もうかると思ったのに借金だけが残った……」という方もいるので、そんなことにならないよう注意しなければなりません。

この記事では株式投資で大失敗した鈴木さん(仮名、20代男性)の体験談をもとに株式投資に潜むリスクを見てみましょう。

鈴木さんのケース

鈴木さん(仮名、20代男性)は都内で働く会社員です。収入はさほど多くないため、生活はいつもギリギリでほとんど貯金もできていませんでした。給料だけでは苦しいので「何か副業をやりたい」と常々考えていました。

そんなとき、何気なく見ていたYouTubeで「株式投資はもうかる」と言っているチャンネルを見つけました。そのYouTubeチャンネルの配信者は、以下のようなことを言っていました。

「株式投資はもうかる。自分は100万円から株式投資を始めたが、今は数億の資産を築いている」

「株式投資には信用取引がある。信用取引を行うと、少ない元手でも効率よく稼げる」

「株式投資をやれば、誰でも億単位の資産を築ける」

「自分も資金が少ないときには信用取引をよく行っていた。そのおかげで今の資産を築けたと思っている」

「少なくとも資産が1000万円くらいになるまでは信用取引で効率よく稼ぐのが良いと思う」

これを聞いて鈴木さんは衝撃を受けました。まさか自分が「億の資産」を築けるなどとは考えてもみなかったからです。しかし、そのYouTuberによれば「株式投資で信用取引さえうまくやれば、誰でも億の資産を築ける」ということでした。

鈴木さんは「それが本当なら人生が変わる!」と思いました。そして「株式の信用取引でひともうけしてやろう」と心に決めたのでした。

信用取引とは

鈴木さんは早速、信用取引について調べ始めました。

信用取引とは簡単にいうと、証拠金を担保にすることで実際の投資額の何倍もの金額を取引できる方法です。例えば3倍にした場合、もうかった場合の利益は3倍になりますが、下がった場合の損失も3倍になります。

信用取引はリターンも大きいけれどリスクも大きな投資方法といえるでしょう。FXのレバレッジ取引と似ています。

ネットで人気の銘柄を購入

信用取引について分かったところで、鈴木さんは株式の銘柄を物色し始めました。
そこで目に留まったのがA社の株式です。A社は最近トレンドの新興企業で、ネット上でも非常に人気がありました。A社株式を購入して大もうけしている人も多数いるようでした。鈴木さんは「これだ!」と思い、全資金を投入してA社株式を信用取引で購入したのです。

すると、A社株式は思った通りに値上がりし、鈴木さんには一時的に数十万円の利益が出ました。

突然の暴落

ところがその後、A社株式は突然暴落。景気全体の悪化や株式のトレンドが変わったことが要因のようでした。そもそもA社株式は、A社の実態価値に比べて人気が先行し、上がり過ぎていたのです。鈴木さんの損益も一気にマイナスになってしまいました。

鈴木さんはショックを受けましたが、「また回復するだろう」と軽く考えていました。そして「下がった今がチャンス」などと思い、追加投資することに決めてしまったのです。しかも追加投資するための資金がなかったので、カードローンで借金をしました。

膨らむ損失

鈴木さんの思惑とは裏腹に、その後もA社株式の暴落は止まりませんでした。レバレッジをかけて取引している鈴木さんの損失はどんどん膨らむばかり。「このままではカードローンの借金も返せなくなる!」と鈴木さんは焦り始めました。

追証を求められても支払えない!

そうこうしているうちにA社株式が下がり過ぎて、鈴木さんの差し入れている証拠金が足りなくなってしまいました。すると証券会社からは追証を求められました。追証とは、証拠金が不足した場合に追加で請求される証拠金です。払えないと強制的に決済されてしまいます。

鈴木さんは既にカードローンで借金しており、これ以上借金を増やせない状態でした。追証を払えなかったので、結果として強制決済されてしまうしかありませんでした。その場合でも証拠金は免除されないので、不足分の入金を求められました。

追加入金を求められた金額は200万円で、今の鈴木さんには支払う当ての全くないものでした。

結局鈴木さんは恥を忍んで親に全てを話し援助してもらい、なんとか追証を解消しました。ただ、カードローンの借金については「自分の給料から払うように」と言われて援助してもらえませんでした。

このように鈴木さんは株式の信用取引に手を出したため、親に大迷惑をかけた上、カードローンの借金が100万円ほど残ってしまったのです……。

●鈴木さんの運命は…