ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋の2024年5月のトップは「iFree S&P500インデックス」だった。以下、「つみたて先進国株式」、「つみたて日本株式(TOPIX)」がトップ3で、第5位に入った「つみたて全世界株式」と合わせて4本のインデックスファンドが前月よりも順位を上げた。インデックスファンドの中では、「大和 ストックインデックス225ファンド」が順位を落としている。

インデックスファンド以外では、第4位に入った「野村世界6資産分散投信(成長コース)」などのグローバル分散投資を行うバランス型ファンドがトップ10に5本ランクインしている。インデックスファンドかグローバルバランス型かという2つのカテゴリーに売れ筋が絞られているが、バランス型の中では「JP4資産バランスファンド 成長コース」が前月比で順位を落とし、「JP4資産バランスファンド 安定成長コース」が順位を上げるなど、ややリスク水準が低いバランス型が好まれたようだ。

◆日経平均バブル超えの中、上昇率はTOPIXに軍配

全国津々浦々に広がる店舗網が特徴のゆうちょ銀行・郵便局で取り扱う投信は、多くの人にニーズがあるわかりやすい商品が中心だ。インデックスファンドは、そのわかりやすい商品の代表格といえる。5月の売れ筋トップの「iFree S&P500インデックス」は、米国株の代表的な株価指数「S&P500」に連動するインデックスファンドだ。Windowsでイメージしやすい「マイクロソフト」、AI(人工知能)半導体で有名な「エヌビディア」、iPhoneメーカーである「アップル」など、米国を代表する500社で構成された株価指数が「S&P500」だ。そして、米国だけでなく、ヨーロッパなど先進国の株式(日本を除く)に広く投資する株価指数に連動するインデックスファンドが「つみたて先進国株式」。日本株インデックスファンドの「つみたて日本株式(TOPIX)」、さらに、新興国を含めた全世界の株式に投資する「つみたて全世界株式」もランクインしている。

ゆうちょ銀行・郵便局のインデックスファンドは、いずれも代表的な株価指数に連動するインデックスファンドになっているため、幅広い層に受け入れられやすいという特徴がある。その中で5月の動きとしては、「S&P500」や「先進国株式」といった米国株を軸にした海外株式インデックスファンドに人気が高まったこと、そして、同じ日本株インデックスファンドの中で「大和ストックインデックス 225ファンド」が順位を落とし、「つみたて日本株式(TOPIX)」が順位を上げたことだ。

「TOPIX(東証株価指数)」は東証プライム上場の全銘柄を投資対象とした株価指数で、5月末現在、「つみたて日本株式(TOPIX)」の組み入れ銘柄数は2140銘柄になる。これに対して「大和ストックインデックス 225ファンド」は東証プライム上場の225銘柄ということになる。日本を代表するような225銘柄で構成された「日経平均株価」は、本来は株価が上昇する局面では「TOPIX」よりもより良いパフォーマンスを出せるはずだが、今回、日経平均株価が34年ぶりにバブル期の最高値を更新する株価上昇で上昇率が大きかったのは「TOPIX」の方だった。5月末時点で過去1年間のトータルリターンは「つみたて日本株式(TOPIX)」が32.9%、「大和 ストックインデックス 225ファンド」は26.2%だった。

◆「4資産」より「6資産」、「成長」より「安定成長」の慎重姿勢も

一方、バランス型は、ランキングで第4位の「野村世界6資産分散投信(成長コース)」が「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」「国内リート(不動産投信)」「外国リート」の6つの資産に分散投資するファンドで、「安定コース」「分配コース」「成長コース」「配分変更コース」の4つのコースがあり、「成長コース」は株式への投資比率が70%を占める。「JP4資産バランスファンド」は、「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」の4つの資産に分散投資するファンドで、「安定コース」「安定成長コース」「成長コース」の3コースがあり、5月に順位を上げた「安定成長コース」は株式への投資比率が50%で、順位を落とした「成長コース」は株式への投資比率が70%になっている。「6資産」と「4資産」では、基本的に分散する資産の数が多い方が投資リスクは小さいと考えられ、かつ、株式への投資比率が低い方がリスクが小さい。そう考えると、「6資産」の方が順位が高く、かつ、株式への投資比率が低い方が上位にランキングされた5月の結果からは、リスクに対して慎重な姿勢が見て取れる。

執筆/ライター・記者 徳永 浩