「お前が責任を取れ!」ひきこもり女性が親に月10万円の小遣いを要求するも拒否され…逆上の末にとった「危険すぎる行動」
Finasee(フィナシー)6/14(土)12:00

「お前が責任を取れ!」ひきこもり女性が親に月10万円の小遣いを要求するも拒否され…逆上の末にとった「危険すぎる行動」
ひきこもりのお子さんの中には、精神障害をお持ちの方も多くいます。働くことが難しく、収入を得られないようであれば、障害年金の受給を検討することになります。
ただし、精神障害の中には障害年金が認められづらいものもあります。そのような場合、どのような対策をとればよいのか。あるご家族のケースを見てみましょう。
教育熱心な母親の期待に応えようとした従順な娘
長女の障害年金の請求を考えている。そのようなことで、森美咲さん(仮名・20歳)の母親が筆者のもとを訪れました。
母親によると、最近になって美咲さんのお金遣いが荒くなってきており、家計の負担になっているとのこと。そのため、美咲さんが障害年金を受給できれば、そのお金をお小遣いに充てられる、と母親は考えたそうです。
まずは状況を把握するため、母親から話を伺うことにしました。
美咲さんは幼少期から、教育熱心だった母親のもとで育ちました。小学校低学年から塾に通い、さらにピアノや水泳などの習い事などもこなしていました。
「あなたはやればできる子よ。もっと頑張りなさい」
母親は何度もそう言ってきました。まるで呪文を唱えるように。
美咲さんは母親に逆らうこともできず、言うことを聞くしかありませんでした。勉強があまり得意ではなかった美咲さんは、歯を食いしばって勉学に励んでいました。そして高校は母親の望む進学校に進みました。
高校の授業科目は細分化され、内容も難しくなっていきます。そのため、美咲さんは次第に授業についていけなくなってしまったそうです。大量に出される宿題が処理できず、定期テストで思うように点数が取れなくなり、成績は落ちていく一方でした。
布団から起き上がれなくなった朝
「もっと頑張らないと駄目じゃない。みんなも頑張っているのに」
母親の言葉はもはや叱咤激励ではなく、美咲さんを非難する響きすらありました。
母親の冷たい声が美咲さんの心に何度も刺さります。次第に美咲さんの心はむしばまれていきました。そのせいでいつも微熱があり頭が重い、体がだるく食欲も湧かないという状況に陥ってしまったのです。
そしてある朝、美咲さんは布団から起き上がれなくなってしまいました。体調不良のためしばらく高校を休んでいましたが、それでも回復することはありませんでした。
心配した母親は美咲さんを近所の内科に連れて行きました。しかし検査をしても特に体に異常は見つかりません。
母親が医師に事情を説明したところ、内科医から「ひょっとしたらストレスのせいかもしれません」と言われ、心療内科を受診するよう勧められたそうです。
そこで母親は美咲さんを近所の心療内科に連れて行きました。その結果、適応障害の診断を受けました。なお、適応障害とは、生活上のストレスが原因で心や体に不調が出ている状態を指します。
心療内科の医師からは「しばらく学校を休んで様子を見た方がよいかもしれません」と言われました。そのアドバイスに従い、美咲さんは引き続き学校を休みました。しかし心が休まることはありませんでした。授業からどんどん置いて行かれてしまう、といったプレッシャーが美咲さんを追い詰めていったからです。
その後、美咲さんの体調は回復することなく、状態は悪くなる一方。限界を感じた美咲さんは、母親と学校の先生とで話し合い、高校を中退することになりました。
高校を退学してしばらくした時のこと。
「せめて高校くらいは卒業してほしい」
そのような思いから、母親は美咲さんに通信制高校を勧めてみました。しかし、勉強に心底嫌気がさしていた美咲さんは母親の提案を拒否。そのままひきこもりのような生活をするようになってしまいました。
月5000円から始まったお小遣いがトラブルの火種に
このまま毎日家の中にこもっているのは望ましくない。
そう思った母親は、美咲さんにお小遣いを渡すことにしました。17歳当時のお小遣いは月に5000円。美咲さんは最初戸惑っていましたが、素直に受け取り、そのお金で月に何度か外出をするようになりました。
最初の頃はお小遣いの範囲内でやりくりをしていましたが、次第にお金が足りなくなる事態に陥っていったそうです。
美咲さんが19歳になった頃。母親に「自分の見た目が気になる」と言うようになり、ちょっとした外出でも化粧をしっかりとし、着飾っていないと気が済まないようになってしまったのです。化粧品、洋服、アクセサリーを買うのに月5000円のお小遣いではとても足りません。そこで美咲さんは母親と交渉し、お小遣いを1万5000円まで引き上げてもらいました。しかしそれでも足りない時があり、その都度、美咲さんは母親にお金を要求するようになったそうです。
このような状況はよくない。そう思った母親は、美咲さんに「アルバイトをしてお金を稼いでちょうだい。そのお金で買い物をしてちょうだい」と言ってみました。
すると美咲さんは顔を真っ赤にし、怒りをあらわにしてきました。
「こんなことになったのは誰のせいだ! 高校すら行けなくなった落ちこぼれがアルバイトなんてできる訳ないだろ? お前が責任を取れ!」
母親がお金を渡すまで、美咲さんは何時間でも母親を責め続けました。美咲さんの責めに母親は心底疲れてしまい、仕方なくお金を渡してしまうのでした。
困った母親は、美咲さんの父親に相談。しかし、父親は険しい表情を見せ「俺は仕事で忙しいんだ。お前が何とかしてくれ」と言うばかり。父親は休日もできるだけ美咲さんと顔を合わせないようにし、美咲さんのことは母親に任せっきりだったそうです。頼れる人もおらず、その後も母親は美咲さんの要求通りにお金を渡し続けざるを得ませんでした。
包丁を向けられた母親
そんなある日のこと。いつものようにお金を要求してきた美咲さん。そこで母親は「うちにはもうお金はありません」と断固拒否の態度を取ってみました。すると逆上した美咲さんは台所にある包丁を手に取り、その刃先を母親に向けました。
「え?」
その話を聞いた筆者は思わず驚きの声を上げてしまいました。
「それでその時、警察は呼んだのでしょうか」
「いいえ、警察は呼びませんでした。その時は平日の昼間だったので主人は仕事で不在でしたし、あまりの出来事に理解が追い付かず、気が動転してしまったので。お金を渡せばとりあえず長女は落ち着くので、いけないとは思いつつお金を渡すしかありませんでした」
「それは大変でしたね……」
筆者はそう答えるのが精いっぱいでした。
美咲さんのお金使いが荒くなってきたので何とかしたい。しかし、母親の言うことは聞かない。父親に頼ることもできない。困った母親は、美咲さんの通う心療内科の主治医に相談。主治医から美咲さんに「お母さんも困っているようなので、お小遣いの範囲内でやりくりをするようにしましょう。洋服は上手に使い回せば、そう何着も買う必要ないと思いますよ」といったことをアドバイスしてもらいました。
ですが、それはまったくの逆効果でした。
主治医の忠告に腹を立てた美咲さんは、その後心療内科の受診を中断してしまったのです。
美咲さんは現在も通院はしておらず、相変わらず化粧品や洋服などにお金を使ってしまいます。お小遣いで足りないお金は母親に要求をしてきます。多い時には月に10万円になることもあるようです。
●疲れ果てた母親に待ち受けていた現実とは――親子が迎えた結末は、後編で詳説します。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。









