日経平均は続伸。65.22円高の28241.09円(出来高概算5億9463万株)で前場の取引を終えている。

 前週末5日の米株式市場のNYダウは76.65ドル高(+0.23%)と反発。7月雇用統計の強い結果を受けて連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ観測が再燃し、金利高を警戒した売りが広がった。ただ、景気後退懸念も緩和したため、徐々に買い戻しが強まり、下げ幅を縮小。ダウは上昇に転じ終了、ナスダック総合指数は下落した。まちまちとなった米株市場を横目に、日経平均は前週末比125.78円安からスタート。その後は、プラス圏に浮上する場面も見られたが前週末終値を挟んでのもみ合い展開となった。

 個別では、好調な受注動向を評価されたレーザーテック<6920>、自社株買いの実施を発表したキヤノン<7751>、業績・配当予想上方修正や株式分割を好感されたラウンドワン<4680>が大幅高となった。丸紅<8002>や三井物産<8031>、住友商事<8053>などの商社株が上昇しているほか、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、第一三共<4568>、INPEX<1605>、などが堅調、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>などの銀行株も上昇した。冶金工<5480>、三井松島HD<1518>などが値上がり率上位に顔を出した。

 一方、商船三井<9104>や川崎汽船<9107>、日本郵船<9101>などの海運株が軟調。東京海上<8766>や任天堂<7974>、リクルートHD<6098>が大幅に下落、ソニーG<6758>やトヨタ自<7203>、キーエンス<6861>なども下落した。ほか、メディアスHD<3154>やクオールHD<3034>、ソリトンシステムズ<3040>、ジャムコ<7408>が値下がり率上位に顔を出した。

 セクターでは鉱業、石油・石炭、金属製品が上昇率上位となった一方、保険、パルプ・紙、海運が下落率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の42%、対して値下がり銘柄は52%となっている。

 本日の日経平均株価は、下落してスタートした後前週末終値付近でのもみ合い展開となった。アジア市況や米株先物が軟調な展開となっているが、日経平均は小幅なレンジでの推移となっている。週末に発表された米7月雇用統計は大幅に予想を上回り、インフレの加速が確認されたため売りが先行したが、決算発表を終えた主力株への物色が中心となり下支えをしているようだ。

 新興市場は売り優勢の展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は、下落してスタートしたあと朝方に下げ幅を大きく拡げた。新興市場でも週末に発表された米7月雇用統計の結果でインフレの加速が確認されたことは、インフレの減速を予想していた分個人投資家心理にネガティブに働いた。また、米長期金利が2.8%台まで急伸しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすいグロース株にとっては逆風となっている。前引け時点で東証グロース市場Core指数が2.35%安、東証マザーズ指数が1.80%安となった。

 さて、直近の日経平均株価は想定外の強さとなっておりこれまで何度も押し返されてきた28000円を大きく突破したあとも28000円台で推移。7月半ばからのハイテク・グロース株を中心としたリバウンドが想定以上に続いていることは前回の当欄で述べている。

 ほかにも、米国のリセッション入り確率が急低下してきているとブルームバーグでは述べられている。JPモルガン・チェースのストラテジストが考案したリセッション確率の指標によると、株式市場の視点では米景気下降はますます起こりそうにないという。また、株式とクレジット、金利市場が全体として織り込む米国のリセッション確率は40%と、6月段階の50%から低下したようだ。つまり、昨年11月から今年6月までの長期的な下落はリセッションを織り込むためで、現在はリセッション材料が出尽くしているとも捉えられている。さらに、物価が落ち着いてきていることもリバウンドの要因となっているだろう。

 ただ、「株式相場の最近の順調な持ち直しは長続きしない」とゴールドマン・サックス・グループとバーンスタインのストラテジストが警告しているともブルームバーグで述べられている。マクロ経済データの悪化が続き、企業業績見通しが下方修正されていることを理由に挙げられている。4日に発表した1週間の新規失業保険申請件数は前週比6000件増加し、26万件だったことも気がかりである。

 また、5日に発表された米7月雇用統計は大幅に予想を上回り、インフレの減速予想とは対照的にインフレの加速が確認された。インフレ高進が確認されるとインフレ抑制のために、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後積極的に金融引き締めを行う根拠となる。やはり、10日に発表される米7月消費者物価指数(CPI)の結果、これに伴うFRB高官ら発言には注目が集まろう。

 さらに、ロシアのウクライナ侵攻や米中問題など地政学リスクの高まりも忘れてはいけない。これだけ不安材料が重なってくると、現在のリバウンドが長く続くことは筆者も想定していない。中長期的にはもう一度下落トレンドが再開する可能性があることを念頭に株式市場を注視していくことが重要であろう。さて、後場の日経平均は、こう着感の強い展開が続くか。前場に続いて決算発表を終えた個別材料株中心に物色が向かうか注目しておきたい。