11日の日本株市場は、やや売り優勢となるものの、引き続き底堅さが意識されそうだ。10日の米国市場はNYダウが30ドル安だった一方で、ナスダックは126ポイント高とまちまちの展開。4月の米消費者物価指数(CPI)が予想と一致したことから過度な警戒感が和らぎ、利上げ停止観測を受けた買いが先行した。しかし、根強い景気後退懸念から買いは続かず、NYダウ下落に転じた。バイデン大統領と議会指導者との会合を控え債務上限問題への懸念も重荷となった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比85円安の29055円。円相場は1ドル134円20銭台で推移している。

 シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、やや売り先行で始まろう。ただし、米CPIに対する警戒感が強まっていたこともあり、CPIが無難に通過したことから、買い戻しの動きも意識されやすいだろう。日経225先物はナイトセッションで一時28890円まで売られる場面も見られたが、終値では29000円を上回っており、日経平均の29000円水準での底堅さが意識されよう。米国の債務上限問題への警戒から積極的な売買は手控えられそうだが、そもそも決算発表がピークを迎えるなか、決算を手掛かりとした物色が中心であり、個別の商いは活発になろう。

 円相場は1ドル134円台前半と円高に振れて推移していることから輸出関連は手掛けづらくなりそうだが、前日に決算を発表したトヨタ<7203>への見直し買いが継続するようだと、他の輸出株への支援材料になりそうだ。また、本日は東エレク<8035>やソフトバンクG<9984>の決算を控えていることから、決算を前にした売り方の買い戻しの動きを見せてくるかが注目されよう。ナスダックの強い動きも指数インパクトの大きい値がさ株への支援材料になりやすいと考えられる。

 なお、日経平均はこう着感が強まりやすく、SQを前に先物主導で仕掛け的な動きには警戒が必要である。また、昨日の日本製鉄<5401>のように、決算発表の一報でアルゴが発動する動きも入りやすく、荒い値動きには注意しておきたい。決算を手掛かりとした物色として、前日の引け後に発表したところでは、パナHD<6752>、富士フイルム<4901>、INPEX<1605>、京急<9006>、日清粉G<2002>、エアウォーター<4088>、アシックス<7936>、パンパシHD<7532>、ハウス食G<2810>、不二製油G<2607>、カプコン<9697>、東洋炭素<5310>、スクリーンHD<7735>、ホシザキ<6465>、日本精機<7287>などが注目される。