米債務上限問題は、議会で無事に承認されるかどうかが焦点となっている。共和党における財政タカ派寄りの一部議員は反対の立場を変えていない。民主党の一部議員も態度を保留しているとみられており、下院本会議での採決結果については楽観視できない状況のようだ。ただ、バイデン政権と共和党は債務不履行に陥ることを回避する点で一致しており、双方が妥協する形で法案は最終的に可決・成立するとの見方が一般的だ。市場参加者の大半は歳出削減が米国経済に与える影響について考え始めている。



合意は、政府予算の歳出には上限を設定し、2024年度は23年度と比べて防衛費以外の支出をほぼ同額にすること、2025年度は1%程度の増加にとどめるなど、歳出を抑え込む内容となっている。債務上限を2年延長するために民主党が行った譲歩の影響は決して小さくないとの声が聞かれている。米国経済の持続的な成長を阻害する要因となり、長期金利や株価にも一定の影響が及ぶ可能性が高いとみられている。目先的には、米連邦準備理事会(FRB)による6月追加利上げの確率を高める要因となるが、5%超の政策金利が長期間維持された場合、歳出削減によって経済活動はやや抑制的となる可能性があることを考慮した場合、一部の市場参加者は金融不安の再燃を警戒している。米国株式市場は歳出削減が経済に与える影響を十分織り込んでいないため、債務上限の引き上げを受けて主要株価指数は一時的に上昇する可能性はあるものの、株高持続は期待できないとの声も聞かれている。