【今週の概況】

■原油高などを意識して3年ぶりの円安水準



今週のドル・円は堅調推移。米長期金利の下げ渋りや原油高を意識してリスク回避的なドル売り・円買いは一段と縮小し、週初に113円台に上昇した。国際通貨基金(IMF)は2021年の世界経済の成長見通しを引き下げたものの、原油の供給不足を背景に原油価格は堅調に推移し、欧米諸国の株式相場は反転したことから、週後半はリスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。ユーロ、豪ドル、英ポンドに対する円売りが増えたことも、ドル高・円安の進行を促した。



15日のニューヨーク外為市場でドル・円は、2018年10月以来となる114円46銭まで上昇した。この日発表された9月米小売売上高は2カ月連続で増加したことから、長期金利の上昇に伴うドル買いが優勢となった。その後発表された10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回ったが、米連邦準備制度理事会(FRB)が11月中に債券購入の縮小を開始するとの思惑は根強く、ドルは下げ渋った。ドル・円は114円29銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:112円08銭−114円46銭。



【来週の見通し】

■ドルは伸び悩みか、115円近辺で顧客筋のドル売り増加も



来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)は11月中に債券買い入れの段階的縮小(テーパリング)に着手する可能性があることから、来週発表される経済指標が市場予想を上回る内容だった場合、リスク選好的なドル買い・円売りは継続する可能性がある。ただ、ドルは短期間で大幅に上昇していることから、1ドル=114円台で短期筋などが利益確定を狙ったドル売りを増やす可能性がある。1ドル=115円近辺では輸出企業などのドル売りも想定されており、一段のドル上昇は抑制されそうだ。FRBが10月13日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月21-22日開催分)によると、金融当局者はテーパリングに関し11月半ばか12月半ばの開始で意見がほぼ一致したことが明らかになった。パウエルFRB議長は同会合後の記者会見で2022年半ばまでテーパリング完了の可能性に言及している。ただ、9月消費者物価コア指数は前年比+4.0%となり、市場予想と一致した。NY原油先物(WTI)は1バレル=80ドル超の高水準が続くものの、過度なインフレ懸念は後退しつつある。

一方、中国恒大集団の債務問題は引き続き市場の懸念材料となりそうだ。関係筋によると、中国政府は、国内大手銀行の一部で住宅ローンに課していた制約を緩和しているもようだ。不動産開発大手、中国恒大集団の債務危機による影響の波及を巡り、当局が懸念を強めているとみられる。そのため、主要通貨に対するリスク回避的な円買いが急速に広がる可能性は残されており、ドル・円の取引でもドル買い・円売りは抑制される可能性がある。



【米・10月フィラデルフィア連銀景況調査】(21日発表予定)

21日発表の10月フィラデルフィア連銀景況調査は24.0と、前月の30.7から伸びは鈍化する見通し。市場予想を大幅に下回った場合は円買い材料となる。



【米・10月マークイット製造業PMI】(22日発表予定)

22日発表の10月マークイット製造業は、60.5と予想されており、9月実績をやや下回る見込み。市場予想と一致、または上回った場合は株高・円安の相場展開となる可能性があるが、予想を下回った場合はリスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性がある。



予想レンジ:112円50銭−115円50銭